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2007年12月01日

GPS第6戦 NHK杯 DAY3 男子シングルSP テレビ観戦

フィギュアスケート グランプリシリーズ日本大会
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 女子シングルに続いて男子シングルも豪華なメンバーが揃ったいましたが、期待以上の内容でエキサイティングな男子ショートプログラムでした。1位は日本と相性の良いトマシュ・ヴェルネル選手、2位は小さなミスがあった高橋大輔選手、3位はアメリカの新鋭スティーブン・キャリエール選手、そして南里康晴選手が第1グループながら素晴らしい演技で4位と大健闘しました。
 NHK地上波の男子放送枠は1時間でしたので、全員を放送というわけにはいきませんでしたが、番組開始2分後には選手が氷上に登場する演技中心の編集でしたので、文句はありません。アナウンサーのはしゃぎぶりは少し目に余りましたが、本田武史さんがそれにあわせずクールな解説で好感を持ちました。

男子シングル SP結果
1 Tomas VERNER CZE 78.15 TES42.00 PCS36.15
2 Daisuke TAKAHASHI JPN 77.89 TES39.64 PCS38.25
3 Stephen CARRIERE USA 67.85 TES35.40 PCS32.45
4 Yasuharu NANRI JPN 67.55 TES38.70 PCS28.85
5 Sergei DAVYDOV BLR 66.25 TES34.80 PCS31.45
6 Sergei DOBRIN RUS 66.14 TES35.44 PCS30.70
7 Kensuke NAKANIWA JPN 63.70 TES33.40 PCS30.30

南里康晴選手
 ベートーベンの「月光」を使ったショートプログラム。スケートアメリカではジャンプがすべてでプラン通り行かず全く振るいませんでしたが、今回は南里選手がインタビューで「振り回してしまった」というトリプルアクセルを含めてすべてのジャンプを綺麗な流れの中で成功させました。こうなってくると今シーズン、大きく改善された後半のステップの良さも光ってきて、満足の表情で演技を終えました。ステップで緩急がつけられるようになって魅せるパートになっていると思いました。パーソナルベストを10点近く更新したのも納得です。
 意外なことにNHK杯初出場なんですね。演技を終えたインタビューなどの表情から、日本のスケーターにとってNHK杯に出ることがどんなに意味があるのか伝わってきました。

チェンジャン・リー選手
 かつては解説の本田武史さんと国際大会でよく競っていてリー選手。本田さんの解説も心なしか力が入っているように聞こえました。最初に彼の代名詞といっていい大技4回転ジャンプが入りましたがコンビネーションでトリプルがつかずダブルになってしまいました。今の採点だと4回転3回転のトウループコンビネーションの基礎点は13点になりますが、4回転2回転になると10.3点に下がり、たとえば3回転ルッツ3回転トウループの10.0点と大差がつかないんですね。このあたり基礎点の設定方法に疑問が残ります。そしてこの選手の場合、難度の高いフリップやルッツが苦手と言うことでステップからのトリプルがループジャンプになってしまうのも痛い。新採点で苦労していたスピンやステップでは改善しようとする姿勢が見られて、まだまだがんばっている姿に心打たれるものがありましたが、残念ながら得点は伸びず、63.56点と南里選手を超えることはできませんでした。

セルゲイ・ドブリン選手
 織田信成選手が世界ジュニアチャンピオンになったときに一緒に表彰台に上がった選手ですが、あのときの女の子のような繊細な姿はもうなく、顔にはあどけなさは残すものの180cmの長身の青年として昨シーズン姿を見せたときにはその変貌振りに驚かされました。もともとスルツカヤ選手と同じコーチについていて、そのせいかスルツカヤ選手と同じくエッジジャンプが得意で4回転はサルコウに貪欲に挑戦していました。今シーズンはヤグディン選手やプルシェンコ選手を育てたミーシンコーチのもとに移籍、その影響かSPでは4回転のサルコウではなくヤグディン選手やプルシェンコ選手と同じ4回転3回転のトウループのコンビネーションをSPで入れてきていて、これを見事に成功させました。本日4−3を成功させたのはこの選手だけでした。
 以前は華やかなルックスとは裏腹にジャンプだけのスケーターでジャンプを失敗すると目も当てられないといった選手でしたが、ミーシンコーチに移籍した効果でしょうか?スピンも苦手なりに努力して、たとえば最初のフライングジャンプスピンはレベルアップの要素でないフライングキャメルで入りましたが、同じポジションで8回以上回ればレベルアップの要素を満たすため、しっかり回転数を稼いでますし、足換えのシットスピンでも両足でチェンジエッジを入れようとする努力をしています。ステップも曲想を表現しようとする努力が見えますね。ただ、全体を見てこれが「火の鳥」なのだろうか?という疑問は残りましたが。現在弱体化してしまったロシアのフィギュアスケートを立て直していく選手になってくれるのではないかという器の大きさを感じました。
 トリプルアクセルでのステップアウトが響いたのかドブリン選手も南里選手を抜くことができず…これは!とどきどきする展開になりました。

中庭健介選手
 フランス大会のSPでは慎重になりすぎたと反省していた中庭選手。この試合でも4回転は封印して3回転ルッツのコンビネーションジャンプにしましたが2つ目にトリプルジャンプをつけられずダブルになってしまいました。しかし、2番目の要素となったトリプルアクセルはフランス大会同様ランディングでバランスを崩したものの手をつかずにぎりぎりで持ちこたえました。地元大会でリラックスできたのか、滑りのスピードや大きさはフランス大会より大幅に改善されてましたし、滑ったパターンも大きくなったように見えました。しかしまだまだ欧米の選手に比べると力強さが欠けているように思えます。
 得点は伸びてチェンジャン・リー選手を上回りました。明日のフリーでは4回転ぜひ見たいです。

セルゲイ・ダビドフ選手
 グランプリファイナル出場の可能性を残す選手のひとり、セルゲイ・ダビドフ選手。最初のトリプルアクセルは高さも流れも完璧。トリプルルッツトリプルトウループのコンビネーションは両足着地でもしかしたら2つ目のジャンプでダウングレードをとられるかもと思いました。本田さんの解説によると最初の3つのジャンプがそれぞれ準備にかかる時間が長いので新採点ではTRの項目で厳しいのではないかということでした。またコンビネーションスピンでひとつひとつのポジションでの回転数も少なかったかもしれないということです。
 点数は思ったより伸びずダビドフ選手が終わった時点でもまだ南里選手が1位という展開にいよいよ心臓がばくばくしだしました。キス&クライに座っていらっしゃったのはカルガリーオリンピックなどにソ連代表と出場されていたコチンさんでした。

スティーブン・キャリエール選手
 フラメンコ調の「天国の階段」で滑ったスティーブン・キャリエール選手。最初のトリプルアクセルは待ち時間が長く、すごいカーブを描いて入りましたが成功、そしてコンビネーションジャンプが予定されていた3−3でなくて3−2になったときに「これは南里選手勝ったかも」と心の中で悪魔の声がささやきましたが、ここからの追い上げがすごかった。若い選手らしく、新採点でレベルと加点がしっかり取れるスピンの連続、そしてm若い選手なのに難しいフラメンコの曲想を表現しながらのステップシークエンス。普段はとてもあどけない表情が残る世界ジュニアチャンピオンですが、演技が終わった時に浮かべた男らしい青年の表情が素敵でした。ボストンのミッチェル&ヨハンソンコンビが教えるスケーターは基礎がしっかりしている上に器用さも持ち合わせていて、将来が楽しみですね。
 ここでキャリエール選手が1位、南里選手がようやく2位となりました。それでも南里選手大健闘です。

トマシュ・ベルネル選手
 ヨーロッパの選手でもひときは長身のベルネル選手。しかもひょろっとしてなくてがっちりしてるからより大きく見えて、リンクに登場しただけで存在感があります。そしてべったりと氷をなめるように滑るスケーティングが、コンパルソリー時代のスケーターを彷彿させます。体系的にもすべりの質も同じ国の先輩サボフチック選手の現役時代にそっくりだと思うのは私だけでしょうか?
 フランス大会では絶対的なライバル、ジュベール選手欠場にがっかりしたのか、SPで大きく出遅れましたが、今回は高橋大輔選手に闘志を前面に出して挑んできているように見えました。サッチモ風のスキャットが入るジャズナンバーを洒落た振り付けで滑り、得意の4回転ジャンプはなかったですがすべてのジャンプを素晴らしい流れの中で成功させました。コンビネーションジャンプで最初のフリップの軸が曲がってしまったのは、彼はフリップのエッジがアウトエッジになってしまい気味なので、今シーズンのエッジ取り締まり強化への対応を意識しすぎてしまったのかなと思いました。
 特にステップでのエッジの使い方が分かりやすくて、レベルアップに必要な難しいターンなどをここでやっていますよというのがすべてアピールできていて、これはレベル4かもと2つのステップシークエンス両方で思わされました。高橋大輔選手の素早い足裁きと身のこなしとは対照的な生き方なのが興味深いです。

高橋大輔選手
 ベルネル選手まで書いたところで女子シングルフリーのライブ放送を見たのですが…驚愕の展開で頭が真っ白になってしまいました。あらためてこの競技の難しさを思い知らされました。
 さて、高橋大輔選手、順調に仕上がってきて調子が悪くなかったことが逆にプレッシャーになってしまったのでしょうか。動きが硬く、スケートの伸びもいつもより悪かったようにテレビでは見えました。最初のコンビネーションジャンプはふわっと空中に浮かび上がるようなジャンプで安心しましたが、トリプルアクセルで片足でがまんできずしゃがみこむような形になってしまいました。トリプルアクセルはこの2シーズンで安定感も増し、またトリノ以降、最も質が向上したジャンプだっただけに残念。トリプルルッツは問題なく成功して、ここからがステップとスピンのパート。サーキュラーステップはスケートアメリカよりさらにスピード感がでて、上半身の振り付けも増えたように思いました。ただストレートラインステップは後半で疲れがでたのでしょうか?高橋選手ならもっと動けるのにと不満を感じたのはカメラのアングルの悪さだけじゃなかったと思います。ベルネル選手が難しいターンをこれでもかと見せ付けるように丁寧に行っているのに対して、高橋選手は音楽に合わせて早いタイミングでこなすので、ひとつひとつの正確さにおいて見劣りしてしまう。特にチョクトーが足の踏みかえではなく単にブレードを氷にあてるだけになってしまうところや、カウンターをまっすぐな線上でやる構成になっているのでブラケットと区別がつきにくかったりとか、厳しいコーラーが見るとレベルを上げてるための要素ができていないと判断されるのではないかな…とあくまでもベルネル選手と比較したときに感じました。今は多少ゆっくりでもっさり見えても丁寧にひとつひとつの要素をアピールするステップが今シーズン主流で、高橋選手、これで高いレベルが取れれば評価も一段と上がると思いますが、難しい道を選択したなと感じます。
 そして2つの激しいステップを終えての最後のスピン、さすがに力がつきてしまったのかバランスを崩してしまい、一瞬足をついてしまうのではないかと不安がよぎりましたが、なんとか持ち直して終了。2位となった採点は妥当だったと思います。ニュースサイト見てはたと気づいたんですが「2位で好スタート」なんですよね。明日の「ロミオとジュリエット」も楽しみです。

勝負の行方
 SPでミスが出てしまった高橋大輔選手ですが、ここ数シーズン非常にジャンプが安定していますので、ひとつの失敗から次々とミスを誘発するといったことはないと思いますので、フリーでもある程度点数が読めるのですが、逆にSPで好調だったベルネル選手がジャンプの安定感に引き続き信用がありませんので全く読めない。二人ともフリーでは4回転を2回入れる構成になってると思いますが、高橋大輔選手は優勝を狙うなら先に滑る立場なので2回成功させてプレッシャーをかけたいところ。逆にベルネル選手のほうは高橋選手の点数を確認してから滑るので、高橋選手のできによって構成を考え直すこともできる…といった展開になるでしょうか。そして南里選手が今夜の武田選手のようにラッキーボーイのような存在になるのか、世界選手権代表へラストチャンスにかける中庭選手の逆襲があるのかなど見所いっぱいの男子フリー、ますます、楽しみになってまいりました。

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@niftySports@niftyフィギュアスケート特集NHK杯3日目・男子シングルSP終了 南里康晴4位
この記事へのコメント
高橋選手のステップは、せっかく得意技なので、レベル4が取れると良いですね。あそこまで上体の動きが入っていて、テンポも速いと、足を動かすのは大変ですね。
PCSの面でも、観客に対するアピール力に対して、ジャッジの反応はそれ程でもないのが不思議です…。
シットスピンのポジションは、不思議な感じがしました。腹筋が苦しそうな体勢ですよね:)普通のシットポジションの方が見た目も綺麗だし、軸も取りやすくて、たくさん回れるように思うのですが、それでは駄目なのでしょうか。

トマシュ・ベルネル選手は、本当にスケーティングがすごくいいですね!おっしゃるとおり、ねっとりとしたエッジ遣いがすごいです。ステップも洗練されていて、すごく良かったです。また、昨年までは、プレゼンテーションが良いという印象はなく、失礼ながら、ちょっと変わった衣装ばかりが心に残っていたのですが(今年も、フリーの衣装はやっぱり変わっていますが、笑)、このジャズは、本当にすごく良かったです。面白いし魅せますね。
強敵出現ですね。
Posted by 雪 at 2007年12月03日 10:31
雪さん
こんばんは!
コメント見過ごしていました。ごめんなさい。
高橋選手、相当チャレンジングなステップになっていますので、ぜひともこれは滑りこなしてレベル4獲って欲しいです。
シットスピンですが高橋選手の場合策シーズンまでのシットスピンの変形だと腰の位置が高くてひざが90度以下になっていないということでシットとして認められない可能性が今シーズンはあったので、新しくお知りを後ろに完全に落とした形のシットを取り入れたんだと思います。スムーズな変化、回転までには習熟に時間がかかるかもしれませんが、レベルを獲るためにやむおえないという事情があるようです。

ベルネル選手、体重もありますからずっしりとした安定感ある滑りに見えますし、足が長いですからひと蹴りも大きいですのでかつてのボイタノやペトレンコを彷彿させるようなすべりで私も大好きです。SPは特に振り付けや音楽が凝っていて見ごたえがあると思いました。スピン、ステップすべてレベル4というのも素晴らしかったです。
Posted by Alex at 2007年12月07日 01:54
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