2007年08月16日

Diana Ross「Last Time I Saw Him」CD化

ダイアナ・ロス、ソロアルバム、最後の1枚がCD化
 実際には1978年の「Ross」が未CD化だったりしますが、収録曲はこれまでにCD化されたものにボーナストラックなどの形で収録されてますので、この1973年リリースのアルバム「Last Time I Saw Him」が残されていた未CD化作品ではなかったかと思います。このたびHip-O Selectよりコレクター盤としてボーナストラックを含めた2枚組でCD化。Hip-Oはユニバーサル系アーティストの廉価版ベストなどをリリースていますが、Hip-O Selectはワーナーのライノコレクターズ的なポジションでユニバーサル傘下のレーベルのレア盤のCD化、特にモータウン物を熱心に掘り起こしてくれていますが、高い!最近は為替レートがよく動いているのでその変動もありますが、私が今回購入した価格は3720円だったと思います。2枚組30曲というボリュームだけを見ると仕方ないかなと思うのですが、今回のボーナストラックは水増し的なものも多く、編集によっては1枚に収まったのではと思うことしきり。
 しかしライナーノーツの解説は相変わらず充実していて、映画「ビリー・ホリデイ物語」の前後にどのようなセッションがどのように行われてレコーディングが進められていたのか、短い文章によくまとめられていて、以前からファンには知られていましたが大ヒット「Touch Me In The Morning」はレコーディングからリリースまでかなりの時間があけられていたことなどが裏付けられる形となりました(レーベルメイトのテルマ・ヒューストンがこの曲を先にレコーディングしてると勘違いされてるのはこのあたりも原因かと思います)。ダイアナらしい曲の好き嫌いの激しさなども当時のプロデューサー達のコメントで語られていますが、先ごろお亡くなりになられたロン・ミラー氏のコメントなど、タイミング的にはぎりぎり間に合った?彼にとっては最後の公式なお仕事がこのCD化にあたってのインタビューではなかったのかなと因縁すらかんじます。(なんだかお盆な話題で湿っぽくなってしまいます)
 またライナーノーツによるとこのアルバム、日本で短期間の間CDで販売されていたことがあるとのことです。それは恥ずかしながら知りませんでした。

収録曲リスト
Disc1
1. Last Time I Saw Him
2. No One’s Gonna Be A Fool Forever
3. Love Me
4. Sleepin’
5. You
6. Turn Around
7. When Will I Come Home To You
8. I Heard A Love Song (But You Never Made A Sound)
9. Stone Liberty
10. Behind Closed Doors
-Japanese Quad Edition-
11. Last Time I Saw Him
12. No One’s Gonna Be A Fool Forever
13. Love Me
14. Sleepin’
15. You
16. Turn Around
17. When Will I Come Home To You
18. I Heard A Love Song (But You Never Made A Sound)
19. Stone Liberty
20. Behind Closed Doors
Disc2
1. I’ll Be Here (When You Get Home)
2. Why Play Games
3. I Don’t Care Where The Money Is
4. Get It All Together
5. Where Did We Go Wrong Version 1
6. Since I Don’t Have You
7. Let Me Be The One
8. I Wanna Go Back There Again
9. Old Funky Rolls Alternate
10. Last Time I Saw Him Unedited Version

Japanese Quad Edition
Last Time I Saw Hime/Diana Ross Disc1の11曲目から20曲目はJapanese Quad Edition。日本ビクターで開発された通称「CD-4」ですね。通常のアナログ盤LPは2チャンネル録音されてそれがステレオの右左から分かれて聞けるわけですが、これはなんと4チャンネル録音になっていてスピーカーを前に2つ後ろに2つ、部屋を囲むように設置し、今で言うところのサラウンド、臨場感あふれるサウンドの再生を可能にするというのが宣伝文句のシステムでしたが、結局普及しなかったようですね。私がアナログを買い出した80年代には新譜がCD-4で発売されることはなかったです。しかし、レコード店の店頭にはCD-4仕様のLPが結構在庫として置かれていた記憶があります。何を隠そう岩崎宏美のファーストライブ盤「ロマンティック・コンサート」はCD-4と知らず、CD-4仕様のものを買ってしまっていました。帯の説明によると2チャンネルの通常のステレオでも聞けると言うことでしたので、そのまな2チャンネルステレオで聞いていましたが…今、思い返すと4チャンネルのオーディオセットで1度は聞いておきたかったなと思いました。
 もちろん今回も4チャンネル録音で聞けるわけではなく、CD-4用にミックスダウンしたバージョンを再び2チャンネルのステレオ録音に起こしなおして収録してるわけで…それじゃ、意味あるのかな?と思いきや、はっきりわかるところでは曲の長さそのものが違ったり、リミックスに近い感じでマニアックで聞くと、オリジナルミックスとは差があります。「Love Me」のイントロなどの「チチチチ」って音などは、CD-4では周りをぐるぐる回る感じにしたんだろうなと不思議で分かったりして。でもほんとマニア向けですよね。
リマスタリング作業が甘い?
 正直、ダイアナ・ロスのアルバムの中で特にクオリティーが高くてお勧めしたくなるアルバムでもないのですが、ライナーノーツを読んでいると、コンセプトがあって作られたアルバムでなく、ばらばらのセッションからできのいいものを寄せ集めして作ったといった制作された過程を読むと、さもありなんと思うアルバムです。
 それでもじっくり聞くと1曲1曲個性があって聞いているうちにうまみがでてきますが、今回のCDはリマスタリングが甘いように感じました。1970年リリースの「Diana Ross」のリマスター盤のCDの音が素晴らしい音に仕上がっていたのに対して、1曲ごとに曲のバランスが違っていたりして、雑な仕事の印象はぬぐえません。「Diana Ross」がちゃんとユニバーサルからのリリースだったのに対してこちらはHip-oクオリティだとしたら悲しい。
聞き所など
 シングル「Last Time I Saw Him」は3バージョンも収録されていますが、中ヒットに収まるのがちょうどいい上品なナンバーで、ダイアナ・ロスには珍しいカントリータッチな味付けがいい効果を出しています。もしAIのシーズン5にダイアナ・ロスweekがあったならケリー・ピックラーに歌ってほしかったですね。個人的には岩崎宏美もライブ盤で歌っていて「今はどこで何をしてるの愛の絆を忘れないでいつも私あなたを待っている」という日本語訳の歌詞でも歌えてしまう思い入れのあるナンバー。
 そして故ロン・ミラー氏が「ダイアナがとっても気に入ってくれたんだ」とうれしそうにコメントを寄せている「Sleepin'」はダイアナがお気に入りというだけあって、歌の中でいろいろな表情を見せながら熱の入ったボーカルを聞かせてくれています。
 ダイアナ・ロスのセルフプロデュースによる「Behind The Close Door」が思わぬ掘り出し物でなかなか素敵。アレンジには80年代に「Missing You」で再び顔合わせするジェイムス・カーマイケルが傘下しています。
 世の中がディスコへディスコへ流れていった中で、ロック、カントリーなども取り入れながらMOR的なサウンドでまとめらてていて、ちょっと時代から取り残されていたアルバムなのでしょうか?当初、ディスコサウンドをくだらない音楽と考えてたモータウンは、75-76年ごろにようやくディスコナンバーを積極的に所属アーティストに録音させるようになるまで取り組みが遅れてしまっていました。
ボーナストラック
 1971-1973年にわたって録音されながら当時未発表となったものを中心としたボーナストラックですが、今回のボーナストラックにアナログのコンピレーション盤で発表されていた「For Once In My Life」が収録されなかったのが不満。たしかまだCD化されてなかったはずですし、今回を逃すと今後なかなかCD化する機会がないと思うのですが。1978年にレコーディングしなおしたものがリリースされている「Where Did We Go Wrong」の1973年バージョンはなかなか魅力的。「Touch Me In The Morning」と同じ路線のアレンジに仕上げられていて、これは当時シングルとして作られたのではというぐらい、演奏もゴージャスで力が入っています。そしてカーペンターズでおなじみの「Let Me Be The One(邦題:あなたの影になりたい)」をレコーディングしているあたりに、当時のダイアナが目指してた方向性が表れているのが興味深いです。そして「I Wanna Go Back There Again」はお蔵入りになったためにバックトラックをテルマ・ヒューストンに流用した話なども紹介されています。これもお蔵入りするのがもったいないくらい演奏に力が入っていて、カラオケを流用したくなる気持ちもわかります。

 ダイアナ・ロスファンにはやはり無理しても買っておいたほうがとお勧めしていますが、それ以外の一般の音楽ファンの方には「買ってください!」とお願いしにくいむずかしいCDでした。購入ルートなどによって価格に差がありますので、サイトを比較したり店頭価格をチェックしたりすることをご推奨します。

ダイアナ・ロス「Last Time I Saw Him」
Amazonの販売価格をチェック/TowerRecordの販売価格をチェック
HMVジャパン


Hip-o公式HP
posted by Alex at 22:14| 大阪 ☀| Comment(5) | TrackBack(0) | ダイアナ・ロス | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
一昨日珍しくタワー・レコードに立ち寄った際現物を手に取りましたが、やはりそのお値段に躊躇して買わずに置いてきてしまいました。

本当に有り難いCD化なんですけど、本当にHip-O、この値段設定何とかなりませんかね?

そして日本で短期間CD化??本当なんでしょうか。いつ頃のことなんでしょうねぇ。
Posted by Suzu at 2007年08月17日 06:00
ちなみにHMVなら(輸入盤3点セールを利用すれば25%OFFで)2,500円ぐらいで手に入るみたいです。…これにします。
Posted by Suzu at 2007年08月17日 08:07
Suzuさん
こんにちは!
あつーーいですね。
自分の部屋はきっとここ数日40度超えてましたよ。
私もHMVのキャンペーンを検討したんですが…すぐにほしいと思えるほかの2枚の輸入盤がなさけないことにおもいつかず、それでも1枚当たりでもHMVとタワレコが安かったんですよね。少し円高にふれているようなので、輸入盤は少ししたら安くなるのではと期待してます。
Posted by Alex at 2007年08月17日 10:03
今日は何だかそんな気分でぐっとクーラー入れるのを我慢してるのですが…はやり暑いですね。
最高気温74年ぶりに更新だそうですし、地球も本当にどうなっちゃうんだか。

そういえば、今年は夏の定番『ハートブレイカー』がお目見えしませんでしたね(なんて、更なるネタを振ってみるわたし。)

後の輸入盤2枚…まだバーブラのライブを買ってないのでそれと、後ポインタースの「スペシャルシングス」がもう発売されてるようなので、このラインナップで妻にアタック!…してみます。
Posted by Suzu at 2007年08月17日 19:41
Suzuさん
こんにちは!
酷暑ですねーまったく。
自宅ではずっとクーラーなし!と決めているのでふんばってはいますが熱中症対策、お互い気をつけましょうね。
今年の夏は歌謡曲ブームで洋楽聴いてないんですよね。『ハートブレイカー』もあと2曲ぐらいなのかな?「Yours」とか意外に手をつけてないんですよね。残暑まだまだ続きそうなので更新のチャンスはまだまだありそうです。
「Special Thing」リリースされるんですね。これは欲しいな。お値段も「Last Time I Saw Him」に比べてお手ごろ。UK盤とUS盤があるんでしょうか?どっちがいいんだろう。US盤のほうが安いですがライナーノーツがしょぼいとか…。
ちょっとびっくりですけどテルマ・ヒューストンが「新作」リリースしてるんですよね。ディスコ物があったりモータウンカバーがあったり、デビュー以来のジミー・ウェッブを歌ってみたりと自分史をたどるようなカバーアルバムで、こちらも欲しいんですけどね。真剣に今、CD処分しているところなので、もう少し部屋にゆとりできたら…といいつつポチっと注文ボタンを押したい衝動にかりたてられるんだろうな。
Posted by Alex at 2007年08月18日 00:23
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