この春、NHKの深夜枠で再放送もされていたようですが、スカパー!初登場の宣伝文句にのせられてヒストリーチャンネルを契約。80年代の初回放送のときにずいぶんと話題となり家族で最初の何回かを見た記憶もあるのですが、なにぶん子供でおもしろさがわからなかったのかな。結局シリーズを通しては見ませんでした。今回はシーズン1の最初から現在放送中のシーズン2まですべて録画して、そして普通なら録画したことで安心して見なかったりすることが多いのですが、珍しくちゃんと見ています。これが想像以上におもしろくて、すっかりはまっております。
海外旅行が放送当時に比べれば身近なものになってもそれでもなかなか行くには決心のいるエリアの情報は、情報化社会といわれ、インターネットを叩けば何でもでてきそうな現在でも貴重なものばかり。そしてそんな辺境の地を太古の昔に旅をしていた「国際人」が存在していたことにただただ驚かされるばかり。
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第2部「ローマへの道」
当時、海外のメディアがなかなか入ることができなかった中国で、中国政府の協力を得て制作された第1部のインパクトがあまりにも強い「シルクロード」ですが、パミール峠を越えて中国からパキスタンに入り、インド、イラン、中央アジア、イラク…と次々と国境を越えながら展開する第2部のダイナミックさもこれまた素晴らしい。先週放送分でついにローマに到達し感動のエンディングを迎えましたが、いくつかのエピソードの録画を失敗していたので、本日と来週の再放送で個人的なライブラリーも完成させる予定です。
神秘の国アルメニア
「シルクロード」は毎回それぞれのエピソードによって違った趣があるのですが、歴史の謎を紐解く大きな発見が含まれているものや、撮影側であるNHK取材班の冒険が描かれたものなどのエピソードが人気が高いのではないでしょうか。しかし、今回、こうして「シルクロード」のエントリーを書くきっかけとなったのは、本日再放送された中に含まれていた第2部#14「絹と十字架〜コーカサスを超えて〜」という、おそらくシリーズの中でも比較的地味な展開ながら以前から興味を持っていたコーカサス地方からアルメニアについて丁寧に描かれた素敵なエピソードを見て心が動かされたからでした。
特に後半に紹介されたアルメニアの話は特に興味深く見ることができました。取材当時はソビエト連邦を構成する国のひとつだったアルメニア。現在は独立していますが、日本ではアルメニアという国について関心は低いかもしれません。私が興味を持ったのはフィギュアスケートロシア代表のアブト選手が「アルメニアンダンス」という曲で滑ったことがあって、アルメニアってどんなところでどんな歴史を持っているのだろうと思ったことがきっかけでした。そのときに、現在、浅田真央選手のコーチを務めているアブト選手のアルトゥニアンコーチがアルメニア系のロシア人であることを知りました。
エピソードの中ではアルメニア人の悲劇についてはあえて触れずに、年に1回、世界中に散らばっているアルメニア人が故郷に帰ってくる話を紹介し、逆に彼らの歴史について考えさせる構成が秀逸でした。また、ぶどうの収穫のときに踊るアルメニア人の姿に、アルメニアンダンスの原点を見る思いがして感動。アルメニアから見えるトルコ領内にあるアララト山を彼らが心のよりどころにしてる話もあえて言葉多く語らないところに、現在の画面せましと並ぶ字幕や感動を押し売りするようなナレーション、音響効果を駆使して飾り立てたドキュメンタリーと違って、見る側が想像や感動を感じるゆとりを残してくれていて、じわじわと後になって心が打たれるような素敵な構成でした。
フィギュアスケートに詳しい方ならご存知だとは思いますが、バトル選手が東京世界選手権で滑った「アララト」はアルメニアから見えるアララトがテーマなんでしょうね?バトル選手のコーチはアルトゥニアンってところで、またいろいろと感慨に浸ってしまいました。アララト山はノアの箱舟が漂着した場所として知られていますが、アルメニア人の大量虐殺がその麓だったんですね。
ヒストリーチャンネルでのこのエピソードの放送は明日の月曜日のみですので、興味が湧いたと方でも今から契約してというのは大変そうですが、またシリーズ全体の再放送は数ヵ月後にある可能性があります。またDVD化もされていますし、埼玉県にあるNHKアーカイブスに観光などで行かれる機会がありましたら、ぜひ、見ていただきたい1本です。
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1915年に起こったアルメニア人大虐殺を題材にした映画「アララトの聖母(Ararat)」のサウンドトラックを使って滑りました。アマゾンなどでAraratで検索するとDVD、サントラ盤などの情報が出てきます。映画はアルメニア系カナダ人のスタッフによって製作されたもので、滑るための音楽はデビッド・ウィルソンがバトルに持ってきたものであり、特に映画の思想やメッセージとは関係なく、音楽そのものを滑りで表現したものだ、とバトルは世界選手権後に行なわれた雑誌インタビューで語っています。
ただ、私はアルトゥニアン氏がアルメニア系であることを最近(上記バトルのインタビューを読んださらに後)知ったので、そのこととバトルがAraratで滑ったことの関係性などを考えると感慨深いものがあるのも事実です。
-yanというのはアルメニア系の人の苗字によくある接尾辞で、カラヤンや、米国作家のウィリアム・サローヤンもそうです。なので、アルトゥニアンという苗字を聞いた時点でピンときてもよかったかもしれません。
こんにちは!
ご無沙汰しております。
世界選手権終了後、雑誌などのチェックも怠っていたのでいろいろ情報いただけると助かります(トリノオリンピックの後になんでもかんでもチェックしまくったのが嘘みたいです)。
事件についての映画のサウンドトラックでしたか。それはもう直球だったんですね。音楽を選んだとのことですが、アルトゥニアンコーチだったってのはすごい偶然ですね。私はテレビ見てて「アララト山」ってでてきた瞬間に、これか!って思いました。
当時、外国のカメラが入るのは初、という場所も多くて、初めて見る遺跡群など新鮮な映像の連続に興奮して見てました。中国といえば北京、地味な人民服があふれているというイメージからはずいぶん違う、中国奥地のエキゾチックな容姿の民族などに驚いた記憶もあります。今考えると、中央アジアは地理的に中東、東欧に近いので当然なんですよね。
さほど歴史には詳しくありませんが、古くから、あのあたり一帯に住む多くの少数民族にとり、国境など関係無く暮らしていたはずが、ソ連や中国の画一的な政策や圧政によって、悲劇的な道をたどった民族も多くあったようです。
しかし東西冷戦が終結し旧ソ連から多くの国が独立しても、内戦が激化したり未だに政情不安な国が多いのは、様々な背景があるとはいえ、悲しいことですね。
アルメニアもそうですが、グルジアのゲデバニシビリ選手がロシアの練習拠点を移した背景からもそういったことが伺えます。
昨年放送された新シルクロードは、シルクロードから25年の時を経て制作、変わってしまったもの、変わっていないもの…25年前テレビを見てた私(ああ、年のことは考えたくないけど)には、非常に感慨深いものがあります。こちらもすばらしいドキュメンタリーですので、ぜひご覧になってみてください。
おはようございます!
私もこの20年前のドキュメンタリーを見ながら中国の人も、旧ソ連圏の人もパキスタンの人もイラクの人も…本当にその後の20年は激動の時代だったんだろうーなと、自然が厳しいながらもおおらかに人生を謳歌していた人たちが今どうなっているのかとても気になったので、ぜひ新のほうも見たいなと思います(ときどき断片的に見てたんですけどね。ナレーションの担当が替わっていましたよね?)
単純に行ったことのない、行ってみたい未知の世界や、謎の多い遺跡に興味があり見てただけなんです。ただ新シルクロードが25年後ということもあり、つい感慨にふけってしまいますね。
シルクロードの放送当時、喜多郎のテーマ曲と共に、石坂浩二のナレーションの素晴らしさが話題になりました。
新シルクロードは、チェロのヨーヨーマプロデュースのテーマ曲に、ナレーションは局アナ(松平さん?)ですね。さすがに喜多郎は聞き飽きましたが(苦笑)、新シルクロードのテーマ曲は好きです。
近代史では、やはりNHKの「映像の世紀」という、これまた素晴らしいドキュメンタリーがあります(しつこいですね、私も)旧ソ連崩壊についても詳しかったと思います。
シルクロード以上に長大で、見るのに気力体力が必要ですが、こちらもおすすめです。加古隆の代表作になった音楽も素敵です。
当時は子供だったので、「不思議な国がいっぱいあるんだなぁ」位にしか理解できていませんでした。今は音楽とタイトルのキャラバン隊の映像が浮かんでくるだけです。DVDも出ているんですね。
ニルギリさんが挙げられた「映像の世紀」も素晴らしい作品ですね。音楽を聞いただけで胸に迫るものがあります。
こんばんは!
旧ソ連崩壊について扱ったドキュメンタリーあるんですね。どうしてもスケートと結び付けてしまいますが、ソ連が崩壊していく過程にあったアルベールビルオリンピックを見ているものとしては、あのとき選手達がどんな環境なのか?などはらはらした思い出があるので(特にクリモワ&ポノマレンコを応援してたので)、すごく興味がある分野ですね。いろいろなスポーツがソビエト崩壊の影響を受けましたが、有力コーチの流出など一番影響を受けたスポーツのひとつがフィギュアスケートではないでしょうか?
こんばんは!
フィギュアスケート見るためにスカパー!に入った私ですが、最近はすっかりヒストリーチャンネルとかディスカバリーチャンネルとかドキュメンタリー系にはまっています。普通の地上波だとなかなか楽しめるものがなかったので、ちょっと懐かしめの番組など、ちょうどいいかんじです。
みなさん「映像の世紀」をご覧になっているんですね。これはぜひ見なければ!ヤフオクとかで安く買えないか探してみます。
ある選手のファンになってから、スケートの話題豊富なこちらのサイトをよく読ませて頂いてました。
今回の話題は意外に固いものですが、実は私もNHKドキュメンタリーのファンです!「シルクロード」、「映像の世紀」と皆様の知識と記憶力に脱帽です。
ところで、私には上記のほかに「社会主義の20世紀」という番組が衝撃でした。
そちらで初めて知ったバルト三国の悲劇が一番、印象に残りました。何故かこの番組はDVD化されません。政治色が強いと判断されたのでしょうか?
第二次大戦の頃、やむなくドイツの下に入ったため、中立国のスウェーデンに居たバルトの捕虜達が、ソ連の求めに従いスウェーデンからソ連に移送される事に、必死に抵抗する場面がありました。彼らのほとんどが何十年も後に白骨化した姿で故国に帰りました。
すいません・・・。初めての書き込みが暗い話題で。でもたまたまNHKのドキュメンタリーの話題でしたので、他では語れないことでしたので・・・。
またこれからも、Alexさんの広い話題を楽しませていただきたいです。
はじめまして
やよいさん
バルト3国の歴史もとても特殊ですね。先日もナチスからソ連軍が解放した記念碑を壊す、壊さないでもめていましたが、彼らにとってはナチスから解放されたわけでなくて、占領者がナチスドイツからソ連に変っただけという意識だったかもしれませんね。
また占領していたドイツ人もソ連の捕虜として多くの日本人がシベリアに抑留して重労働を課せられたように、多くの人がソ連領内で亡くなっているんですよね。戦後処理の名の下に多くの理不尽が見過ごされていたように思います。
NHKアーカイブスに一度は足を運びたいと思っていますが、見たいものが多すぎで一度ではすみそうもないですね。老後の楽しみに。
フィギュアスケートや体操は、歴史に翻弄されたスポーツの代表ですね。旧ソ連と東欧の社会主義の国々、カタリーナ・ビットの東ドイツや体操コマネチの祖国ルーマニアなどがすぐ思い浮かびます。
「映像の世紀」には東西ドイツの統一の回もありました(うろ覚え?)他にもいいドキュメンタリーがありましたが、単発ものが多いせいかDVD化されていないかもしれません。私の記憶もちょっとあいまい。
いずれにしても、何度も再放送されているNHKのドキュメンタリーは、100%と言っていい位、質が高いので、ジャンルにかかわらずご覧になって欲しいです。
(ちなみに、ドキュメンタリーでは、NHKの次に好きなのはBBCです。最近プラネットアースで共同制作してますね)
音楽もとてもいいですよね。昔、太田由岐奈選手がエキシで「黄昏のワルツ」という曲を使っていましたが、あれは加古隆作曲の「人間ドキュメント」という番組のテーマ曲でした。あの頃はまだ故障していなかったと思うのですが、番組の内容を思うと、太田選手の生き方に妙にシンクロしてしまって、ちょっと切なくなります。
ニルギリさん
「黄昏のワルツ」懐かしいなーーー。といきなりそこに反応。あまりにも日本の層が厚くなりすぎて一度でもトラブルなどでエリートコース(あえてこう書きますが)からはずれてしまうとなかなか国際大会に復帰することも難しい…現実がわかっていても彼女の復活に期待している私がいます!
ヒストリーチャンネルでのシルクロードの放送が終わって、心に穴が開いた気分。平日毎日連続放送だったので、4月5月とずっと寝る前にその日録画した1話分を見て心を綺麗にしてから夢を見てたので楽しかったです。穴を埋めるべく他の番組を探してるのですが、シリーズで楽しめそうな番組がスカパー!には今はないみたいなので残念です。
おお、何とタイムリーな話題!実は4月に上海に出張になったので、仕事の後1週間休暇を取ってシルクロードを旅してきました。ウルムチ、トルファン、敦煌、西安です。この旅行に先立って、日本から大事に持って来た自分で録画したNHKの「シルクロード総集編」を見て行ったのでした。旅行が本当に素晴らしかったので、このDVDを買おうかなと丁度考えていたところだったんですよ。
旅行前から気になっていたのですが、NHKの番組も観光案内も、結局のところ「漢民族側」というか「中国政府側」からしか書かれていないのですね。旅行に行ってますます、少数民族の人たちの目で見た中国を知りたくなったところで、「シルクロードの光と陰」なる本がこれまたタイムリーに出版されたということで、日本から取り寄せ中です。
しばらくシルクロード熱は冷めそうにありません。
こんばんは!
すごい!シルクロードへ足を運ばれたんですね。たしかに中国政府の協力を得て作られる番組ですから漢民族側からの番組になっていましたが、それでも西へ移動するにしたがって色々な顔の人たちがでてきて中国には多くの民族がいるのだなと実感できましたし、この映像のときより、さらに交通の便などが改善され、独自の文化を守ってきた人たち漢民族が支配する中国にのみこまれていってしまったのかな?などと考えながら私も今回のスカパー!での放送でいろいろ考えさせられました。