2006年10月28日

スケートアメリカ 地上波テレビ放送を見て(男子フリー/女子SP)

テレビ朝日
 昨日の放送が無かったので昨年のグランプリファイナル以来のテレビ朝日でのフィギュアスケートの放送でした。みなさまから事前に情報をいただいていたので、覚悟の上でみたので、昨年のファイナルほど…なことはありませんでした。

ここから先また長文になります(未完の部分あり/ごめんなさい)・・・続きを読む


男子シングルフリー
 メダリスト3人の演技が放送されました。
織田信成選手 日本
 織田選手らしいミスの少ない演技。ただやはり後半で疲れがでてしまってストレートラインステップでエラーがでたのは毎回の課題なので残念。近畿ブロックのときに感じましたが、ショートプログラムに比べてまだまだ滑り込めてないなと思いました。ただ、今回ジャッジから高い評価を受けたことは大きな収穫、織田選手の自信につながったのではないかと思います。記事などでは肉体強化の成果を語っていた織田選手ですが、やはり緊張した状況下だと練習のとき以上に体力が奪われるようなので、その上で今回入らなかった3−3−3を決めつつ最後まで滑りきるパワーまではまだまだでしょうか。4回転への挑戦も語っているようなので、がんばってほしいです。NHKではさらにグレードアップしたフリーが見たいですね。
 優勝おめでとう!

アルバン・プレオベール選手 フランス
 キスクラにモロゾフの姿が。モロゾフ振り付けのプログラムだったんですね。アニック(元ゲアゲ夫人)の弟子らしい個性を全面に押し出した選手で、そういうところは、山田コーチと元ゲアゲ夫人がかぶって見えました。今は新採点でみんながみんな同じようなスケーターを目指してるような状況で、選手の個性を殺さずに伸ばすことがうまいコーチの存在は貴重かも。まだまだ荒削りな面が目立つ選手ですが、勢い、力強さを感じさせ、コミカルで楽しい振り付けも入って、織田選手のときは息を呑んで見守って「鑑賞」していた観客も、笑顔をこぼしながら一緒に楽しんでいるようでむしろ盛り上がってるようにすらかんじました。

エヴァン・ライサチェック選手 アメリカ
 昨シーズンからのプログラムということで新鮮味はありませんでしたが、やはり動きがこなれていてスムーズでしたね。ただ、このプログラムって旧採点時代のプログラムのような構成で、織田選手のプログラムに比べるとつなぎの部分などはシンプルすぎるほどシンプル。TRの得点が伸びなかったのも仕方ないかなと思いましたが、ジャンプをまずはクリーンで決めるための作戦なのかもしれません。それが功を奏してトライしたジャンプは成功させて、フリーに強いところをまた印象付けました。ひとつひとつのジャンプのクオリティに問題があったり、後半、あきらかにスタミナ不足ですべりが重くなったりとライサチェック選手もまだまだ課題があるなと思いました。

女子シングルSP

サラ・マイヤー スイス

浅田舞 日本 [公式HP]
 うーん、キャンベルのときと違って緊張したせいか、以前の悪い癖がでてしまいましたね。ジャンプが全体的に回転不足でそのせいで最初のルッツも両足着氷になってしまいました。スケーティングがもともとフラット気味でスピード不足なのも、キャンベルのときは改善されてるように見えましたが、このSPではやはり上位選手に比べてスピードになく、フットワークでも正確性に欠けて不明瞭なターンになってる部分が多かったですね。フィギュアスケートでは彼女の美しさはなににも勝る武器だとあらためて実感しましたが、前半のスローな部分は彼女の長い手足が生きていましたが、後半のリベルタンゴではタンゴらしい力強さやメリハリがなかったのが残念、ニコライ・モロゾフの振り付けとの相性があまりよくないように感じました。
 キャンベルでは軸がぶれてしまったビールマンも今日はしっかり細い軸で回っていましたし、フリーは今日のように緊張せずにアメリカで練習を積んできた成果がアピールできるといいですね。

キミー・マイズナー アメリカ
 以前のエントリー(こちら)で韓国演歌っぽいという失礼な感想を書いた「スノーストーム」、トリノ五輪で金メダルを取ったペア、タチアナ・トットミアニーナ&マキシム・マリニンがSPで使っていた曲を使っていました。ずっとローリー・ニコルの振り付けでしたが、このSPはニコライ・モロゾフの振り付け。昨シーズンの世界選手権では女王と呼ぶにはスケーティングに拙さが目立って物足りないなと思いましたが、滑り出しはかなりトレーニングの後が見られるいい滑りだなと思ったとたんに最初のルッツを失敗。相変わらずスレンダーなボディですが、それでも昨シーズンと比べると筋肉などもついてからだが少し大きくなった印象。もともとジャンプを高さではなく回転の速さで成功させた選手なので体が大きくなって回転の速さが少しでも落ちると失敗しやすくなったのかなと個人的には思いましたが、どうでしょうか。失敗で気落ちしたのかその後も元気がなかったですね。曲が最初から最後まで一本調子なので、一度失敗すると切り替えがうまくできないせいもあるのかもしれません。モロゾフらしいストレートラインステップでなかなか凝ったつくりなのですが、やはり彼女もモロゾフのプログラムとは相性が悪いですね。以前にも書いたかと思いますが、モロゾフのプログラムは滑り手を選ぶところがあって、傾向としてはアイスダンサーのように肉体に存在感があるタイプのスケーターでないと見栄えがしない(荒川静香さんや今シーズンの安藤選手などにはぴったり)ような気がします。

エミリー・ヒューズ アメリカ
 しかし、カルメンの演技、いかにもアメリカ的な彼女のキャラクターにどうだろうと思っていましたが、見てみるとこれが意外によかったですね。力強さ、生命力を感じさせるエミリーならではのカルメンを演じきっていました。彼女のプロフィールには今シーズンの振り付けにマーク・ミッチェルとデヴィッド・ウィルソンがクレジットされていますが、これはどちらのプロなんでしょうか。非常にうまく彼女の魅力を引き出していました。ストレートラインステップだけでなくわざと技とのつなぎのフットワークも細かく作られたプログラムで昨シーズンのプログラムに比べてさらに上を目指そうという姿勢がはっきりあらわれていました。あとは、キャンベルのときにペギー・フレミングが言っていたように、今回のSPのプランも3回転3回転を入れた構成を提出していたようですが、それが今シーズン中に試合で成功できるレベルになるのかどうか、今日は最初のルッツのランディングで乱れて後半が1回転のトウループになってしまったのが残念でした。マイズナー選手もヒューズ選手も決してシーズン初めの調整不足といった雰囲気は感じませんでしたが、やはりアメリカの選手が本気で滑るのは全弁選手権からかなというのが正直な感想です(そのあたりの事情は今川知子さん/梅田香子さん共著の「フィギュアスケートの魔力」(こちら)に詳しく書かれています)。

キーラ・コルピ選手 フィンランド

安藤美姫 日本
 キャンベルですでに披露済みのリムスキー・コルサコフのシェラザードを使ったSP。キャンベルをノーミスで滑り、ジャッジから高評価を受けたことでさらに自信を深めたようです。すべりも動きも一段と大きくなって、最後にスタンディングオベージョンを観客からもらって笑顔で応えている安藤選手の姿を見ていると、長野で生観戦した2003年の全日本選手権で、氷上で輝いていた安藤選手を思い出して感慨深かい演技でした。観客を盛り上げたストレートラインステップですが、2004-05版応援ブック(こちら)のインタビューではソルトレークでモロゾフが振付けてヤグディンが披露していたトウを駆使したステップに否定的な発言をしていたことを思い出すと、今は新ルール導入でステップの傾向が変わってるとは言え、こういう展開が待っていたのかと、おもしろい話だと思いませんか?女子シングルの選手では161センチという長身ですが、氷上ではそれ以上に大きく見えて、テレビで見る異常に生で観戦したときに見栄えがする選手なので、またどこかで見る機会があればなと思いました。
 インタビューでは練習ではSPに力を入れていたのでフリーが不安だといっていましたので、またどきどきしながら結果を待ちたいと思います。

ケイティー・テイラー アメリカ

浅田真央 日本 [公式HP]
 安藤選手が高スコアを裏切らないいい演技だったので、これを超える演技ってキャンベルでは調子が悪いように見えた浅田真央選手に本当にできたのだろうか?とちょっとスコアを疑いながら見ましたが…いや、これは凄い。2005-06版の応援ブック(こちら)で彼女の負けず嫌いな面、競技好きな面がインタビューや当時の山田満知子コーチのコメントで書かれていましたが、競技、試合となると別人になるんですね。
 ジャンプが決まったことはもちろんというか、彼女にとっては当然なのかもしれませんが、表情が良かったです。アメリカ人の得意な笑顔とはまた別の穏やかでやさしい微笑を常に浮かべて、最後、曲が終わった後も十分に余韻を観客が楽しんでから、ぱっと普段の浅田選手の表情にかわるまで、やわらかな曲調そのままの表情をキープし続けているのが非常に良かったですね。
 プログラム構成で言うと、ジャンプに長い待ち時間や準備動作を必要としないので、短い時間に決められた8つの要素をいれなければならないSPでも、この選手だけ余裕があって、他の要素にたっぷり時間をかけたり、必須要素以外の部分でも余分な動きを入れて曲想を表現できるゆとりがある。特にスパイラルでは最初にリンクを横断するS字を滑ってさらに折り返してS字を描ける時間的ゆとりはここから生まれてきていますね。
 できそのものは安藤選手もベストな演技でしたから、安藤選手のほうが上でも良かったんじゃないの?って意見もあるかもしれません。実際高いレベルで僅差ですしジャンプの質は安藤選手のほうが上だったかもしれません。しかし、安藤選手との差が決定的にあるのがスケーティングの質にあると思います。安藤選手が決して悪いというわけでありません。彼女もエッジを滑らせる技術には天性のものがあると思いますが、滑ってるときの姿勢が浅田真央選手のほうが抜群にいいんですよね。腰から上の上体が引き上げられた姿勢で背筋が伸びた状態で滑っている場面が圧倒的に浅田真央選手のほうが多いんです。特にフォアクロスですね。以前にジャッジの藤森さんが解説で指摘されていましたが、浅田真央選手はシングルスケーターのフォアクロススケーティングでなく、アイスダンスサーのプログレシップフットワークのタイミングで1212と駆け抜けるようなスケーティングがいい質でできるんですね。このSPでも要所要所でそれをいれていいアクセントにしています。足首が柔らかいだけでなくて強さがあるからスケーティングのときにひざを深く入れても前傾姿勢にならなくてもバランスが取れるだけ足首も深く入れてるんだなと、今回のSPを見ながら感心してしまいました。
 フリーを見るのが本当に楽しみになってまいりました。

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この記事へのコメント
Alexさん、こんにちは。
やっと安藤選手と真央選手の動画だけみれたところです。
なんだか、織田選手と二人のSPだけで、しばらく幸せに暮らせそうです。

安藤選手、力強い演技でしたが、キャンベルの時に比べて『くね〜』というあの東洋を意識した手の動きがよりそれらしく変わっていましたね。ほかにも沢山出てくるので、完成型が出来るころには、ああいう上肢の動きがより洗練されるのでしょうか。
素晴らしい演技でしたのに、Alexさんご指摘の前傾姿勢のことを気にしてみると、また欲が出てきて、次回の演技も楽しみです。

真央選手の演技には、ただただ感謝しました。ただジャンプがすごいお嬢さんだと誤解して受け止めていました。フリーでは残念だったようですが、私の中では『あのSPをこの世に見せてくれただけで、もう今は十分』です。ありがとうございます、真央さん。
コーチが『彼女に必要なのは、経験だ』とコメントしていますけど、彼女のような人には、勝敗に縛られないで攻め続けて欲しいです。余談ですが、USFigureSkatingのページの舞選手と並んで座っていて、舞選手はじっと話しを聞いているのに、真央選手が違うところを見ているのがすきです。上の子と下の子だわ。とほほえましいです。

それから、少しずれますが、先ほどペアフリーが少し見れたのですけど、井上&ボールドウィンペアが、ジャンニスキッキの『私のお父さん』で滑っていて泣けました。転倒もありベストの出来ではありませんが、井上選手があの曲をしょって滑っているだけで、泣けてきます。キャンベルでは見ただけで泣けました。スケートカナダまで一週間しかありませんけど、がんばっていただきたいです。

ではまた、お邪魔させてください。
Posted by やすこ at 2006年10月29日 13:05
こんにちは!
やすこさん
コメントありがとうございました。
井上組のスローパートがジャンニスキッキの『私のお父さん』なんですねー。まるほど、彼女の人生を考えると泣けますね。スケートカナダはGPFポイント争いには関係ないですが、連続表彰台を狙ってほしいですね。今回は強豪がでてきますから、彼女達も本気モードになるのではないでしょうか。優勝おめでとうございます!

浅田選手のSPはルー・チェン選手が昔どびっシーの曲で滑ったSPを思い出しました。静かな曲をエレガントに仕上げていて、今シーズン何度も繰り返し見返しそうな演技でした。ぜひNHK杯ではこれを上回る演技みたいですね。そして全日本、世界選手権と完成度を上げていってほしいです。
Posted by Alex at 2006年10月30日 14:10
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