2006年08月31日

ジョディー・ワトリーの捨て身の攻撃に撃沈した理由

80年代MCAブラック部門の隆盛の象徴的な存在だった歌姫
 1980年代、それまでユニバーサル映画のサウンドトラックとカントリー専門のレーベルといった印象だったMCAレコード。そのイメージを変えるべくブラックミュージックのてこ入れを図るためジェリー・バスビーを責任者に据えて、ステファニー・ミルズ、パティ・ラベル、ダイアナ・ロス(ダイアナは当時MCAの傘下になっていたモータウンへの返り咲きという形になる)など大物シンガーを引き抜きつつ、同時に新人発掘を行ない、MCAブラック部門が一気に華やかになりました。ジョディー・ワトリーはそんなMCAブラック部門隆盛の象徴的な存在。「I'M LOOKING FOR A NEW LOVE」「REAL LOVE」などが次々とヒット、グラミー賞の最優秀新人賞に輝くなど、元ソウルトレインのダンサー、元シャラマーのメンバー、元ファッションモデルなどといった過去の肩書きを消し去るほど人気シンガーとして活躍しました。そんな彼女も90年代中ごろには勢いを失い、1995年にリリースしたアルバム「Affection」で永年所属していたMCAを離脱、その後はインディーレーベルで1枚(アメリカ以外の国でAtlanticからリリース)、そして日本のレコード会社で1枚、アルバムを制作するもともに本国アメリカで正式リリースはなく、彼女が80年代初めモデルとして活躍していたイギリスや、定期的にブルーノートなどで来日コンサートを行なっている日本では根強い人気はありましたが、肝心の本国アメリカでは過去のスターといった印象になってしまっていました。最近のアメリカでの彼女の話題といえば、整形手術でトラブルがあったというゴシップでした。
ジョディー・ワトリー、復活への手ごたえ
 しかし、21世紀に入っても、ジョディーは地道に音楽活動を行なっていて、2001年にはイギリスのGiant Stepsというレーベルからアルバム「 Midnight Lounge」をリリース、これがアメリカでもShanachieというジャズレーベルを通じて6年ぶりのリリースにこぎつけ、ビルボードのインディーアルバムチャートで最高位49位、エレクトロニックアルバムチャートで最高位13位とマイナー部門ながら久々にチャートイン、King Brittなど新しいクリエーターとの交流も活発に行なう中で、2005年には「I'M LOOKING FOR A NEW LOVE」のリミックスバージョンがビルボードホットダンスシングルスで1位になる快挙で復活への機運が高まってきていました。友達から「ジョディーのブルーノートのコンサートはすごくいいから絶対に行くべき」とずっと強く薦められていましたが、私は残念ながら日本のレコード会社で出したアルバムがどうしても受け入れがたくて、それ以来敬遠していました。しかし、この8月にリリースされた新作アルバム「The Makeover」には再び食指が…。
ゴシップを逆手に取った捨て身のプロモーション
 新作「The Makeover」がリリースされたことを知ったのはEnterment Weekly's EW.comの今週掲載された彼女のインタビュー(こちら)。まず驚かされるのが冒頭の文章、「彼女の最新CDのブックレットには、彼女が整形手術している写真が掲載されている」のだそうです…もちろん、これはジョディーのジョークで、本当の手術の模様ではなく、手術してるように見せているフォトセッション。ジョディーが言うには「最近は(違法)ダウンロードで音楽を楽しむ人が多いから、どうしたら買って聞いてもらえるか知恵を絞った」のだそうです。すごく痛快なんだけど、かわいらしさ、いじましさも感じてしまって、こういうのに私は弱いわーい(嬉しい顔)。そして、どんな内容のアルバムなんどあろうと、私のように興味を持ってしまう人間がでてくれば、ジョディーの作戦は成功ですね。オフィシャルサイト(こちら)、今回のアルバムもインディーズのイギリスのGiant Stepsからのリリースですが、現段階ではアメリカで配給するレーベルはなく、ヴァージンメガストアが特別に取り扱っていて、オフィシャルサイトではヴァージンメガストアで買うか、ネットではGiant Stepsのサイト(こちら)から買ってくださいと告知されていました。アメリカのアマゾンでも取り扱いしてるのですが、日本のアマゾンでは取り扱いがなかったり、わざわざ公式サイトで「Giant Stepsのサイトで買ったほうがアマゾンで買うより早く届きますよ!」と強く書いてますので、契約がいろいろあるのかもしれません。ダウンロードではiTuneが販売しています。

さらに続く(笑撃の整形疑惑写真ほか)
整形疑惑の答えは…プロモーション??嘘本当??
ジョディ・ワトリー まー大変! ここからがまたおもしろいところですが、そのジョディーの公式サイトによると「ここよりも私のブログの方がもっといろいろな情報がありますよ!」とますますマニュファクチャリングな展開。早速、彼女のブログ(こちら)をチェックすると、トップページでは話題の整形手術をパロディーにしたフォトセッションの模様がスライドショーで公開されていました。ここまでやればかっこよすぎ、ジョディ。
 しかも、インタビューでは本当に整形手術でトラブルがあったのかどうについて、「去年の12月にこのフォトセッションがあったんだけど、それがネットに流出しただけ(実際には手術でトラブルなどない/手術などしていない)、今までコメントしなかったのはCDのリリースを待っていたから」。どこまでが本当でどこまでが嘘でどこまで信じていいのやら…まさにディーバの模範解答!
ジョディー・ワトリーが歌うマドンナ&カーペンターズ
 さて、アルバムの内容ですが、マドンナの「Borderline」のカバーが5月にすでにiTuneでダウンロード販売されていて、先行シングルとなっています。この曲は以前にEvergreenでも紹介(こちら)しているダンスクラシックですが、インタビューの中では質問が厳しくて「珍しいですね。マドンナですら最近はラジオオンエア獲得できてない状況だけど・・・(なんで今さらカバー?)」という質問がぶつけられています。ジョディーは「たしかにラジオではかからないけどマドンナのセールスはまだまだ強力よ」とかつてのライバルを讃えつつ、ジョディーによるとスムーズジャズやNPRのラジオステーションを狙ってのカバーであって、トップ40系やアーバンR&B系のメンストリームのラジオ局でのオンエアを狙ったものではないと付け加えています。トップ40系のラジオ局がつまんなくなったせいか、こういったスムーズジャズやアダルトコンテンポラリー系のラジオ局を狙ったマーケットが活発化していますね。マイケル・マクドナルドやロッド・スチュアート、バリー・マニロウなどはそれで見事に復活していますし。サンフランシスコのヴァージンメガストアでのインストアイベントの模様がYouTubeにアップされいてこの「Borderline」(こちら)もほんの少しさわりでしか確認できませんが、彼女が歌うバージョンは、オリジナルのダンサブルなアレンジではなくてそういったラジオステーションでいかにもオンエアされやすそうなテンポを落としたアレンジのようです。(追記:スタジオ録音盤を聞きましたが、ライブよりキュートなボーカルでアレンジもとっても落ち着きがありながら洒落ていていいですよ。)
 さて、「Borerline」だけでもいよいよ気になってきたジョディーの最新アルバムですが、さらにさらに気になるカバーが。その名も「カーペンターズメドレー」しかも曲が「Close To You/Superstar/We've Only Just Begun」。バカラックの「遥かなる影/Close To You」、アメリカンアイドルでもよくコンテスタンツが歌う「Superstar」、以前に関西電気のCM曲としても紹介(こちら)した「愛のプレリュード/We've Only Just Begun」と、あまりカーペンターズを聞いてこなかった私でもよく知ってて大好きなナンバーの三連発ではないですか…これは聞いてみたい。でも、インディーレーベルの悲しいところで、オフィシャルでも全曲の試聴はできないし、ましてやAMGやAmazonでは1曲も試聴できないので、これは買うしかないのかなと思い始めたときに…
オジサンを落とした最後の一言
 他にも彼女自身のかつてのヒット曲「Frienz」や「Don't You Want Me」などのセルフカバーが収録されるなどアピール度の高い選曲になっていますが、私にとって見逃せないカバーがさらに1曲。「Love Hangover」。ダイアナ・ロスの1976年のNo.1ヒットでまさにディスコアンセム、Evergreenでもホームページを始めた当初に紹介(こちら)しています。ジョディのブログでも影響を受けたアーティストに「Grace Jones, Diana Ross, Prince, Marvin Gaye, Stevie Wonder」ちゃんとダイアナ・ロスが入ってるし、インタビューでは最近聞いてる音楽を聞かれて「ダイアナ・ロスの『Blue』(アルバム紹介のエントリー)」って、うれしいこと言ってくれてるじゃないですか。ビヨンセも最近よくインタビューなどで尊敬してるアーティストにダイアナ・ロスをまず挙げていますが、彼女は『Blue』は聞いてないと思うけど、ジョディーは聞いてるんですよ。
 ここまで言ってもらっちゃ、ジョディーの最新作買うしかないでしょ…ってことで、iTuneで曲のばら売り1曲150円ってのもあったのですが、アルバムまるごと1500円でダウンロードしました。この秋はリリースラッシュがあるので財布の紐、締めていたはずが、ここで撃沈。
 
 というわけで、アルバムを聞いた感想は後日のエントリーで書きますね!

ジョディー・ワトリー「The Makeover」
Jody Watley - The Makeover

関連アイテム
カーペンターズ「Love Songs」
「Close To You」「Superstar」「We've Only Just Begun」
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マドンナ
「Borderline」を収録したデビューアルバム
Amazon 楽天ダウンロード Madonna - Madonna

ダイアナ・ロス「20th Century Masters: The Millennium Collection」
「Love Hangover」を収録したベスト
Amazon 楽天ダウンロードダイアナ・ロス - 20th Century Masters - The Millennium Collection: The Best of Diana Ross 

ジョディ・ワトリー「The Millennium Collection」
MCA時代の大ヒット曲を収録したベスト盤
Amazon Jody Watley - 20th Century Masters - The Millennium Collection: The Best of Jody Watley

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関連リンク
ジョディー・ワトリーの本人のブログ
毎日更新されるわけではなく、つきに1-2度更新といったところ。エントリーを読むと、今年7月の東京のステージで泣いてしまった話など彼女の人間的な部分がでてて好印象。
posted by Alex at 20:00| 大阪 ☁| Comment(4) | TrackBack(0) | evergreen (女性ボーカル) | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ちょっと、また、本当に、つぼなお話ですねぇ〜。

ジョディがマドンナを歌う時がくるなんて、あの頃は考えもしませんでしたよね。未だに自分の中ではスタイリッシュR&BディーバNo.1のジョディさん。
ビート・ナンバーはくらくらするほどかっこよいですし、バラードの美しさも格別。優しくグルーブする曲もいいですしねぇ。

しかし普通にアマゾンとかで買えないとなると、自分の場合けっこう難しいかも。何とか方法を考えないとです。

感想、楽しみに待ってますね!
Posted by Suzu at 2006年09月01日 00:22
こんばんは!
Suzuさん。
近いうちに日本のアマゾンで扱いがあるか、ジョディぐらいの人気があれば、国内盤がリリースされてもいいんじゃないかなと期待はしてみますが…
もし中古屋に流れてきたら少々お高くても捕まえてくださいね!

>>ビート・ナンバーはくらくらするほどかっこよいですし

ほんとにかっこいい!私、ジョージ・マイケルとのデュエットの曲とか、ぜんぜんキャッチーじゃないのにこのかっこよさは何?って何度聞いてもしびれるんですよ。
バラードも美しいですよね。
Posted by Alex at 2006年09月01日 00:49
今晩は!
ジョディー!★!
一時、
彼女無しでは日が明けない、暮れない、
そんな生活をしていましたね!
Real Love、Everything!等々堪りません!
今聴いても、やっぱ、いいもんな〜
あの頃のサウンド!
人は勢いがつくと、止まらない!
凄い事になるものですね!
当時彼女=女王様でしたね。
^▲^!
新譜!かなりよさそうですね!
Posted by tatsubo-H at 2006年09月01日 20:27
tatsubo-Hさん
こんばんは
コメントありがとうございます。

>>あの頃のサウンド!
ジョディーは彼女のサウンドっていうのを持ってましたしね。なんかフロアーからつきあげてくるようなリズム。

新譜、よくよく考えてみると日本では輸入盤屋にイギリス盤ならんでそうですね。明日にでもチェックしてまいります。
Posted by Alex at 2006年09月01日 22:47
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