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2006年07月30日

Dionne vs. Mary

****Web版Everegreenと同時更新です。Web版には欄外コラムも設けてます。***

「YOU ARE THE HEART OF ME」

1970年代の隠れたSoul Gem
 久々に対決企画です。ディオンヌ・ワーウィックは御馴染みですが「『vs. Mary』ってメアリーJ.ブライジなら知っているけど」とツッコミをいただきそうですね。今回取り上げるのはスプリームス(シュープリームス)のオリジナルメンバー、メアリー・ウィルソンとの競作曲「YOU ARE THE HEART OF ME」。
 1960年代、ディオンヌ・ワーウィックとザ・スプリームスはヒットチャート上で烈しく争っていたわけですが、メアリーはバックコーラスですのでどちらかというと、その後ソロデビューしたリードボーカルのダイアナ・ロスとのライバル争いがディオンヌの場合語られる機会が多く、そのライバル争いもアメリカンミュージックアワードでのグラディス・ナイトとの挟み撃ち作戦でダイアナを撃沈、イギリス行きコンコルド上での和解を経て、戦争も終結したというのがイギリス音楽大使デイビッド・ネイザンの唱える定説となっております(なんじゃそりゃ)。脱線しましたが、あまり対決というイメージがないふたりがたまたま同じ曲を歌うことになったのは、それまでニューヨークをベースに活動していたディオンヌ・ワーウィックがデトロイトでレコーディングしたことに端を発しています。

H=D=Hと組んだ「Just Being Myself」
 1970年代に入って、ディオンヌはバート・バカラックとともにワーナーに移籍しましたが、移籍第1弾アルバム「Dionne」を1972年にリリースした直後バカラックはA&Mへ再移籍、ディオンヌはそれまでの彼女のヒット曲のほぼすべてを手がけていた作曲家でありプロデューサーを失ってしまいます。そして、「Dionne」のセールスもレコード会社の期待を大きく下回ったため、ディオンヌは大幅な路線変更を余儀なくされます。そこで登場したのがホランド=ドジャー=ホランドのソングライター/プロデューサーチームです。1960年代、モータウンレコードで、スプリームスやフォートップス、マーサー・リーブス&ザ・ヴァンデラスなどに次々とヒット曲を提供し、彼らをスターダムに押し上げた陰の立役者であり伝説的なソングライターチームである彼らは、モータウンを退社し1969年(68年説もあり)に自らのレーベル、ホットワックス/インビクタスを立ち上げて活動していました。
 ディオンヌがデトロイトへ向かったのが彼女自らの意思であったのか、レコード会社が主導して話をすすめたのかはわかりませんが、ホランド=ドジャー=ホランド・サウンドスタジオでアルバム「Just Being Myself」を完成させ1973年2月にリリースします。かつてのライバルのスタッフとともにレコーディングするディオンヌの心境がどうであったか非常に興味をそそられますが、彼女はこの作品にかなり不満があったようです。それまでのバカラックとハル・デビッドがプロデュースしたレコーディングでは、彼女がボーカルをレコーディングするときには、同時にスタジオにミュージシャンやオーケストラやバックコーラスが入って、スタジオライブのような形で贅沢なレコーディングをしてきたディオンヌにとって、H=D=Hがミュージシャン達と事前に完成させたバックトラックにボーカルだけをレコーディングする作業には強い違和感があったことと、彼女に決定権があれば絶対に選ばないような曲が含まれていたことが理由のようです。「インビクタスのアーティストにはあっているかもしれないが、自分にはあっていない。これは本当のディオンヌ・ワーウィックではない」と「Just Being Myself」というアルバムのタイトルを完全に否定するような発言をアルバムリリースから1年たたない1973年の12月のインタビューでしているほどですから驚かされます。

さらに続く・・・
HMVジャパン
H=D=Hの事情
 古巣モータウンレコードが着々とデトロイトを離れ西海岸へと移動する準備を整えている一方で、モータウンレコードが従来抱えていたミュージシャンの一部や、モータウンレコードがそれまでフォローしてきたデトロイト周辺の新しいアーティスト達の受け皿となり、ノーザンソウルの最後の雄となったH=D=Hのホットワックス/インビクタスレーベル。立ち上げ早々からフリーダ・ペインの「Band Of Gold」が大ヒットするなど順調に見えたレーベル運営も72年頃にははやくもピークが過ぎてしまった感があり、もう一度、自分達のサウンドで盛り返したいという思いが当時、H=D=Hの3人にはあったと思われます。そんな中でディオンヌのような外部のビックネームを手がけることができるのはH=D=Hのチームにとって存在をアピールする千載一遇のチャンス。しかも、彼らは「『STOP IN THE NAME OF LOVE』をバカラックが気に入っていたと言っていたのをベリー・ゴディーJr.から聞いたときはうれしかった」(すごい伝言ゲームですね)と30年以上たってからスプリームスのベスト盤のライナーノーツに書いていたほどバカラックのことを尊敬していましたから、その秘蔵っ子と仕事ができるとなると、きっとはりきってこのプロジェクトに取り組んだことでしょう。そして、1曲目の「YOU'RE GONNA NEED ME」のイントロを聞いただけで、彼らがどんなにこのアルバムに力を入れていたか聞く者みなに伝わることでしょう。ディオンヌに不満があったとはいえ、彼女が初めて黒人のクリエーター&ミュージシャン達と組んだ初ソウルアルバム(セプター時代にメンフィス録音の「Soulful」がありますが、あれは白人のプロデューサー&白人のミュージシャンでしたから)であり、それまでソフィストケートされたスタイルのボーカルを聞かせてきたディオンヌが、「YOU'RE GONNA NEED ME(あなたは私が必要になるのよ!)」とソウルフルに第一声を吼え上げ、ブラックミュージックの世界に殴りこむこみをかけるのに充分な意気込みを感じさせました。しかし、残念ながらアルバムチャートで最高178位と輝かしい経歴を誇る彼女にとって結果は惨敗となってしまいます。

ディオンヌが嫌がった「何か」とは何か
 ホットワックス/インビクタスの作品の特徴でよく言われるのが、どの作品もモータウンの人気アーティストに対しての対抗意識が表れているといことです。たとえば、ハニーコーンはスプリームス、チェアメン・オブ・ザ・ボードのボーカルはフォートップス、フリーダ・ペインはダイアナ・ロスと、H=D=H自身が育てたアーティスト達を意識して作品を提供していました。それは自分達作り上げたモータウンレコードでの過去の実績を超えてやるのだという意気込みのあらわれだったのかもしれません。
 そこへディオンヌ・ワーウィックとくれば、はやりその作品の裏にダイアナ・ロスの存在、そして彼女への対抗意識を感じずにはいられません。「Just Being Myself」に収録されている曲のうち「YOU'RE GONNA NEED ME」「I THINK IT'S LOVE」「DON'T LET MY TEAR DROPS」などは特にダイアナ・ロスがソロデビューした当初、アッシュフォード&シンプソンと組んで制作した1枚目のアルバム「Diana Ross」や2枚目のアルバム「Surrender」に収録された曲と類似点が多く見られます。ストリングスのアレンジをしているジーン・ペイジがダイアナ・ロスの仕事をしていますし、モータウンだって腐ってもノーザンソウル、そういう面でも類似していてもおかしくはないのですが、このあたり、H=D=Hのモータウンへの対抗意識や、そしてディオンヌ側、特にレコード会社の希望にも重なった結果生まれたのではないかと思います。それを裏付けるかのようにこのアルバムのセールスが芳しくないとわかるとディオンヌはアッシュフォード&シンプソンとも2曲レコーディングしています。実はそれこそがディオンヌ・ワーウィックがこの作品に満足できなかった一番の原因ではなかったのではないでしょうか。1960年代からバーブラ・ストライサンドに対抗できる唯一の黒人ポップシンガーとして、グラミー賞まで受賞している(ここが重要)、自分が、ガールグループ上がりのソロシンガーとしてはまだまだ駆け出しでグラミー賞も受賞したことない(ここが重要)、小娘の物真似路線をいくなんて、「前作さえ売れていれば」「バカラックさえいれば」と心に思うことはいろいろあったに違いありません。アッシュフォード&シンプソンとレコーディングした2曲がお蔵入りしたのもそのあたりの事情があるのではないでしょうか。そう考えると前述の「インビクタスのアーティストにはあっているかもしれないが」というディオンヌの発言も「ダイアナ・ロスにはあっているかもしれないが」とついつい深読みしてしまうのは私だけでしょうか。

後のフィリー詣でを予感させるナンバー
 そんな収録曲の中にあって3曲目「YOU ARE THE HEART OF ME」は異色のナンバー。ノーザンソウルというより、フィリー系、特にイントロのストリングス使いなどはまさにフィアデルフィア。当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったスタイリスティックスを代表するヒット曲「BETCHA BY GOLLY, WOW」と「YOU ARE EVERYTHING」のいいところをつないで作ったような情熱的な愛を切々と歌う美しいラブバラード。こてこてのソウルバラードなのに、まだソウルシンガーになりきれてないディオンヌが60年代の「哀愁の花びらのテーマ/VALLEY OF THE DOLLS」でのボーカルを髣髴させるようなポップでドリーミーな世界を展開、この時代、この瞬間のディオンヌ・ワーウィックの立ち位置を4分15分にうまく切り取ったスナップ写真のような1曲。そして、スピナーズとツアーしたり彼らと共演でトム・ベル作の「THEN CAME YOU」を大ヒットさせたりと、フィリーサウンドの洗礼を受けることになるディオンヌのその後を予感させるところがおもしろいですね。

スプリームスのカバーバージョンの存在
クリック!Amazonで詳細を見る ディオンヌ・ワーウィックの「Just Being Myself」が、昨年イギリスのスパイレコードでCD化されたとき、そのライナーノーツで「YOU ARE THE HEART OF ME」をスプリームスが後にカバーしていると書かれていました。そこに書かれていた収録アルバムが1976年の「Mary, Scherrie and Susaye」という公式なスプリームスの最後のアルバムで大きなヒットにはならず、またCD化もされていなかったので、もう耳にするのは無理だろうなとすぐにあきらめたのと、ダイアナ・ロスが去ってからのスプリームスへの愛情がやっぱりなかったのか、あっさり「そうなのか」と思ったぐらいですっかり忘れていました。先日、ジーン・テレルのソロアルバムがCD化されたのがきっかけで、ダイアナが去ってからのスプリームスの音源をCDラックからいろいろだしては効いていたのですが、「あれ?これ最近違うバージョンを耳にしたことがある」という曲がありまして、それがスプリームスバージョンの「YOU ARE THE HART OF ME」でした。聞くのをあきらめるもなにも、5年も前に買っていた2000年にリリースされた4枚組のボックスセットに収録されていたのです。4枚組の4枚目のさらに最後に収録されていたということが言い訳になるかどうか、すっかり見過ごしていて、先日このことを発見したときにはCDを持っていることに安心して中身を聞かず宝の持ち腐れにしていたのだなとあらためて反省しました。
 そして、この曲が珍しくオリジナルメンバーのメアリー・ウィルソンがリードボーカルでレコーディングされていました。

ブライアン・ホランドとスプリームスのリユニオン
 このメアリー・ウィルソン版「YOU ARE THE HEART OF ME」がレコーディングされたスプリームス終末期の作品は、実は60年代にダイアナ・ロスがいた頃のスプリームスに数多くのヒット曲を提供していたH=D=Hのひとり、ブライアン・ホランドがプロデュースをしていて、多くの曲でブライアンとそしてエドワード・ホランドの名前もクレジットされています。しかし、かつてチームを組んでいたラモント・ドジャーはホランド兄弟とは別にソロ活動をしていたため参加していません。H=D=Hとモータウンレコードとの間には裁判沙汰がありましたが、モータウンの仕事を再開しているところを見るとそれまでにそれらは終結していたようです。H=D=Hは独立当初は自分達の名前を作曲者としてクレジットすることすら許されず、その権利すら裁判で争わなければならなかったことは、モータウンの所属アーティストへの締め付けの厳しさを示しています。
 ブライアン・ホランドが再びモータウンのアーティストとフリーのプロデューサーの立場で仕事をしだしたのもどうやらメアリー・ウィルソンの橋渡しがあったようです。1973年にジーン・テレルとリンダ・ローレンスが去った後、その後釜を、ひとりは結婚で引退していたシンディー・バードソングにメアリーは復帰を依頼していますが、もうひとりリードボーカルについてはラモント・ドジャーに頼んでフリーダ・ペインの妹シャーリー・ペインを紹介してもらったあたりにも、彼女がH=D=Hと連絡を取り合っていたことがあらわれています。そして、ホランド兄弟は1975年のスプリームスのアルバム「The Supremes」収録でシングルカットもされた「WHERE DO I GO FROM HERE」からモータウンの仕事を再開して、テルマ・ヒューストンやダイアナ・ロスともレコーディングを行なっていますが、なんといってもスプリームスの作品が圧倒的に数多く残されていまして、続く1976年リリースのアルバム「High Energy」とアルバム「Mary, Scherrie & Susaye」に至ってはブライアン・ホランドが全面プロデュースしているほどです。

スプリームス終末期を彩ったブライアン・ホランドproナンバー
 スプリームスといえばやはり私にとってはダイアナ・ロスがいた時代が一番好きですし、その後のジーン・テレルがリードボーカルの時代もヒット曲が多いので聞く機会も多かったのですが、ジーンが去って以後の作品は今までほとんど聞く機会はありませんでした。今回、手元にあるかぎり(この時期のアルバムはCD化されてないので、いろいろなベスト盤にばらばらに収録されているものを探し出して)聞いてみたのですが、思っていた以上に楽しい作品が多いことに驚かされました。時代がディスコブームのまっただなかということで、やはりダンスフロアーを意識した曲が多く、それをただディスコブームに追従するのではなく、新しい時代のソウルを作ろうとインビクタスを立ち上げたときの精神の最後の最後の残り火でブライアン・ホランドがオリジナリティーをプラスした上でスプリームスを再びヒット戦線に送り込もうとする意気込みは充分に感じることができます。実際、「HIGH ENERGY」と「I'M GONNA LET MY HEART DO THE WALKING」のカップリング(7インチシングルのカップリングとは異なるのでおそらくプロモーション用の12インチでカップリングされていたのではないかと想像しますが)はダンスチャートのクラブプレイで1位を獲得しています。他にもスリーディグリーズを意識したようなイントロで始まる力強い「WHERE DO I GO FROM HERE」や当時はアウトトラックになってしまって20年以上経ってベスト盤に収録されるまでお蔵入りしていたというのが信じられないほど完成度が高いミディアムテンポのポップチューン「THERE'S ROOM AT THE TOP」、シュープリームスの看板に負けない内容の濃い作品を発表していました。ブライアン・ホランドのプロデュース作品ではないですが、後にダニー&マリー・オズモンドがカバーした「IT'S ALL BEEN SAID BEFORE」の華やかさはシングルカットがキャンセルされたのがもったいないほどのでき。
 みなさまもご存知のように、残念ながらこの時期、ダンスチャート以外でのチャートアクションは全盛期に比べると寂しい限りで、有終の美を飾ったとはいいがたい結果に終わっていますが、もう一度ライブラリーから取り出して聞きなおしてみてはいかがでしょうか。

ディオンヌ・ワーウィックへの提供曲のリサイクル
 さて、本題の戻りますと、ブライアン・ホランドはスプリームスにとって最後のオリジナルアルバムとなった「Mary, Scherrie & Susaye」でかつてディオンヌに提供した「YOU ARE THE HEART OF ME」を再利用してメアリー・ウィルソンバージョンをレコーディングさせていますが、「Just Being Myself」からの素材のリサイクルはこれが最初ではありませんでした。前作「High Energy」収録曲としてすでにディオンヌに提供していた「DON'T LET MY TEARDROPS BOTHER YOU」のスプリームスバージョンを制作しています。ラモント・ドジャーが抜けて、以前ほど曲を次々生み出すことができなくなっていたことともあてのリサイクルかもしれませんが、ディオンヌに提供した楽曲のクオリティーに自信があり、ヒットしなかったアルバムの中の1曲にしておくには惜しく、なんとか多くの人に効いてもらいたいという思いもあったのかもしれません。

メアリー・ウィルソンのリードボーカル
 メアリー・ウィルソンがリードボーカルのスプリームスバージョン「YOU ARE THE HEART OF ME」ですが、フィリーサウンドを髣髴させるイントロ使いなどはオリジナルのディオンヌバージョンに準じていますが、メアリーが歌いだした瞬間にオリジナルとはまったく世界が変ります。メアリーの歌はすっかり貫禄のある妖艶なクラブシンガーといった雰囲気で、場末のカジノかキャバレーで聞いているようなメアリーワールドへ引き込まれてしまいます。それがかつての栄光を誇ったスプリームスのオリジナルメンバーとしてどうなのか?と疑問はなくはないですが、このバッタモンのフィリーバラードといったこの曲を表現するには、こういった手法もありではないかなと思えるほど、とにかく自信たっぷりなのですよ、メアリーが。
 最近のメアリー・ウィルソンのライブパフォーマンスをフィーチャーしたドキュメンタリー映画「ソウル・サヴァイバー/Only The Strong Survive」の中でも制作者から「リードボーカルの声ですよね」なんてあからさまなおべっかを使われてもまんざらでもない様子のメアリー・ウィルソン。彼女はインタビューや自叙伝などを通じて常に、自分はリードボーカルだってできるけど、バックアップコーラスが好きだからずっとそのポジションにこだわっていたと語ってきました。いつだってダイアナ・ロスに変ってフロントに立つことだってできるけど自分は選んでバックコーラスをしていたのだということを証明するかのように、ダイアナ・ロスが去ってからも彼女はバックアップボーカルにとどまっていました。そんな彼女が70年代のスプリームス時代に残している数少ないソロレコーディングは、「KEEP IT HID」(ジミー・ウェッブの名曲)、「YOU TURN ME AROUN」、そしてこの「YOU ARE THE HEART OF ME」とどれも高いレベルのクオリティーを保っています。これはメアリーが厳選して自分の声にあっている曲だけに絞ってレコーディングしていたであろうということと、やはりダイアナ・ロスと同等以上のことができることを証明しなければという彼女のプライドをかけた歌声だったからではないでしょうか。また、スプリームスのオリジナルメンバーであり、メアリーにとってはしまい同然のフローレンス・バラードが不遇の死を遂げたときに、墓前に「フローレンスが世間から忘れられないためにも、私がスプリームスの看板を守っていく」と誓ったほど、唯一のオリジナルメンバーとしてスプリームスを引っ張っていかなければという責任感の表れだったかもしれません。またこの曲をレコーディングする直前には出産も経験して母になっていたことも見逃せないポイントです。

メアリー・ウィルソンが使った最終兵器
 メアリーはオリジナルのスプリームスメンバーの中でも一番スタイルもよく華やかなルックスを誇り、またそのハスキーで色っぽい声からモータウンファミリーの中ではセクシーワンと呼ばれ、常に艶やかな噂にことかかなかった女性。マービン・ゲイが離婚訴訟で傷つきヨーロッパで逃亡生活をしていたときに、離婚で搾り取られほぼ無一文の彼のために軍資金を届けにオランダへ真っ先に飛んだ女性がメアリー・ウィルソンだったことも有名な話。そんなメアリーの最終兵器である女の魅力がこの「YOU ARE THE HEART OF ME」でアクセル全開にして表現しています。純真無垢な私が思わず赤面してしまいそうな女性のあのときの声。この路線ではドナ・サマーの「愛の誘惑/LOVE TO LOVE YOU BABY」が有名ですが、それほど全編に渡ってフィーチャーされているというわけではなく時間にすると20秒にも満たない時間ですが、色っぽさ、リアリティーの追及という面ではメアリーの方が上をいっているかも。もし、この路線の歌を集めているお好きな方がいらっしゃったらぜひコレクションに加えていただきたい1曲ですね。子どもには聞かせられないR指定のナンバーにできあがっています。
 最終兵器を投入してまでメアリー入魂の1曲となったのも、この曲が収録されたアルバムがスプリームス最後の作品となる予感がメアリーにあったのかもしれません。このアルバムからカットされたシングル、つまり公式なスプリームスのラストシングル「LET YOUSELF GO」のB面に収録され、文字通りこの曲がスプリームスにとって最後の1曲となりました。

レアなナンバーが気軽に聞ける時代
 ディオンヌとメアリーの対決でありながら、その戦いの裏にダイアナ・ロスの影が見逃せない。それが1970年代の歌姫生き残りバトルの状況を如実に示していると思います。
 ディオンヌのワーナー時代のアルバムは全作品、現在ショップや通販でCDで購入できる状況ですし、スプリームスの70年代メインのベスト盤もいい編集内容です。それに加えてiTuneではここで紹介した関連楽曲のほとんどが曲単位で試聴/購入ができるという便利な時代になりました。ぜひこの機会に1970年代にSoul Gemに耳を傾けてみてはいかがでしょうか。

Dionne Warwick「YOU ARE THE PART OF ME」
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文中に出てきた関連楽曲
Dionne Warwick「DON'T LET MY TEARDROPS BOTHER YOU」
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アルバム丸ごと試聴/ダウンロードThe Supremes - The Supremes: The '70s Anthology

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posted by Alex at 22:27| 大阪 晴れ| Comment(2) | TrackBack(0) | evergreen (女性ボーカル) | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>バッタモンのフィリーバラードといったこの曲

言い得て妙、ですね^^。
メアリーさんもなにかと話題の方ですし。
Posted by ルタ at 2006年07月31日 13:32
こんにちは!
コメントありがとうございます。
だったら最初からフィリーでと思いますが、トム・ベルはむちゃくちゃ忙しかったみたいですねこの時期の2-3年。
メアリーさんは当初予定されたバイパス手術はせずに血管の修復手術で現在は回復に向かってるそうです。ERの待合室で何時間も待たされたということをオフィシャルにご本人が書かれていました。
Posted by Alex at 2006年07月31日 16:42
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