2010年05月25日

ABCスペシャルコンサート 京フィル with 岩崎宏美 その2

毎度お馴染み
 そういうわけで、「その2」は岩崎宏美の歌だけに絞ってステージの感想など。毎度お馴染み、気持ちが悪くなるぐらい思い入れ&自分語りの入った長文でございます。自分で読み返しても読み辛いなんて酷すぎますが。

「ロマンス」
 コンサートの幕開けを告げる1曲目は「ロマンス」。チェコフィルと共演した「PRAHA」でも基本的にお馴染みのアレンジベースでしたが、この日もあのお馴染みのイントロ、クラシックのホールなのでみなさんお行儀が良くしてても「きたきた!」と観客席の空気が一気にヒートアップするのが伝わってきました。よくよく思い出してみると、筒美京平アレンジの初期の楽曲はどれもフィリーに影響された超絶ストリングスがフィーチャーされているわけですからですから、オーケストラアレンジして楽しむのに向いているように思います。この曲は現在でもテレビで披露する際にはオリジナルカラオケで当時のキーでリズムに追いかけながら歌ったりするので、実はファンとしては大丈夫かな?とはらはらしながら聞いたりするわけですが、テンポを少し落とすだけでこんなに余裕を持って、そしてさらにスケールの大きな歌声になるんだなと、京フィルとの共演ステージでは毎度歌われているので、毎回のことなのですが、それでも驚かされます。それだけでなく声の調子も良く、1曲目からフルスロットだったことにも驚かされまし、やはりそれはうれしかった。観客の方も「さすが岩崎宏美!」とほっとひと安心したんじゃないでしょうか?そういえば再発売されたアルバム「許さない〜Never Again」のセルフライナーノーツではオリジナルのキーで歌ったり下げたりする曲が混在するのには宏美さんなりにこだわりがあることも披露されていました。筒美京平作品のカバーアルバムと言う側面もあるはずなのになぜか「許さない」には「ロマンス」は収録されてませんが、ある意味、オリジナルがすでに完成形ということなのかな?

「好きにならずにいられない」
 京フィルだけの演奏によるナンバーをはさんで「好きにならずにいられない」。大ヒット曲というわけではないですが、親友で今年のアニバーサリーツアーにも参加している山川恵津子さんの作曲ナンバーでもあり、宏美さんのお気に入りで、コンサートでもよく歌われますし、アルバム「PRAHA」に収録されたことからもそれは伝わってきます。ここ数年の宏美さんの心境に近いのかな?妬けますね。気持ちよさそうに宏美さんが歌うので、観客もみんな夢見ごこちにワルツのリズムに身をゆだねておりました。

「すみれ色の涙」
 ファンにはお馴染みのエピソードですが、1981年に「曲が『難しすぎる』傾向がある」という反省のもと、スタッフがそれぞれに岩崎宏美に歌わせたい曲を持ち寄ろうという戦略会議のときに、宏美さん自身がブルーコメッツのファンだったお姉さんのレコード棚から選んで持っていったのがこの「すみれ色の涙」だったというエピソードをステージでお話されました。たしかに1曲前の「恋待草」は岩崎宏美以外歌えないだろうという超難曲で、カラオケが定着して、音楽を聴くだけじゃなく、世の中で歌われることによって大ヒットが生まれるという新しい状況が生まれてきた中でセールスが低迷してしまったのも事実。おそらくその会議でスタッフが持ち寄ったナンバーを集めたのがアルバム「すみれ色の涙から」だったんでしょう。後に良美さんとデュエットでもカバーしたユーミンの「卒業写真」だったり女性ボーカリストがこぞってカバーした名曲「サルビアの花」、トップテンで堺正章さんに「カバーさせていただきました!」とうれしそうに報告していた「街の灯り」、飯田正彦氏の推薦だったのが明らかな「空に星があるように」など、当時のスタッフが岩崎宏美にどんな歌を歌わせたかったかを想像しながら聞くとおもしろいですよ。
 しかし、ここで困ったことになってしまいました。歌の途中でぼろぼろと涙が勝手にこぼれてきてしまって、みっともない状態に。とても冷静に歌を楽しんでいたつもりだったのに、涙がでてきてしまったことで、一気に感情もこみ上げてきてしまって。ハンカチはかばんのなかだったのでごそごそ演奏中に出すわけにもいかず、ひっしで指で涙が落ちるたびに拭っていました。前にも書いたことがあるかもしれませんが、「岩崎宏美のファンだな」って自覚したのはこの曲だったんです。その瞬間も自分でしっかり覚えていて、大晦日、父とレコード大賞を見ていて、最優秀歌唱賞の発表するときに願望をこめて「岩崎宏美だよ」と言ったんですよ。で、実際に宏美さんが受賞したので父が不思議そうに「決まってたんか?」って言ったことまで、ふだんはまったく忘れているんですけど、歌をあらためて聞くとそのときの映像がまるで第三者として見ていたように思い出されて。そんな父も亡くなって13年かとか、あのとき台所でおせちを作ってた母も去年亡くなって、あのときは自分には家と呼べる場所がちゃんとあったんだよなとか、いろいろなことを考える前に、まず涙が出てくるなんてことがあるんですね。
 で、話は戻りますが、年が明けてお年玉を持って父とラジカセを買いにいき、そのときに一緒に私の人生で最初に買った音楽ソフトが「すみれ色の涙」も収録されたベスト版のカセット。鮮やかなきみどり色の厚紙のカバーがついていました。あのカセットは本当によく聞いたな。それだけしか持ってなかったし。それからはシングルやアルバムがリリースされるたびにレコード屋さんにおこづかい持って走っていたのが今はアマゾンでポチると変えながらも30年間(間にちょっとブランクはありますが)、ファンにも歴史ありです。ヤンタンにレコード大賞を見て感動したと書いて送ったはがきをヒロリンに読んでもらったこともありますが、そんなこともたった今まですっかり忘れてしまっておりました。
 観客席はこの曲がヒットした頃にはすでに現役ばりばりで働いていたような年代の方々ばかりですから、「この曲も聞きたかった!」といった暖かい空気が満ちていたんじゃないかなー。

「夢やぶれて」
 1部最後の曲は岩崎宏美のコンサートでもハイライトになっているナンバー「夢やぶれて」。指揮の井村さんとの出会いの曲でもありますし、昨年はあの人の歌ですっかり日本でも定着しました。あの人のことにはまったく触れず、「レミゼラブル」のオーディションを受けて、エポニーヌ役は島田歌穂に敗れて落ちて、しかし、演出家に「声に母性を感じるから」という理由でフォンティーヌを演じることになったエピソードや、私生活で妻となり母となり(いろいろあってなんておっしゃってましたが)、そして子供と別れて暮らさなければならなくなってから再びフォンティーヌ役を演じることになったときの心境を話してからの歌唱でしたので、客席も身を乗り出して真剣に聞く緊張感が生まれていました。井村さんがフォンティーヌのオーラがでてたと演奏後おっしゃっていましたが、歌い方もミュージカルに出演したときの影響もあると思いますが、いつもの岩崎宏美とは違う岩崎宏美になるように毎回感じます。他の曲ならソフトな雰囲気をだすためにファルセットを使うようなところもこの曲だけはぐいぐい地声で押していくので「おおおおお」とうならされたりとか。歌詞を綴っている言葉も一語たりとも聞き逃してたまるか!って気持ちが盛り上がったりとか。この曲の前でかばんからハンカチが見つけられず、ペーパータオルをなんとか引きずりだして、涙ふいてましたけど、この曲で泣いてたわけじゃなくて、前の曲で泣いた分を拭っていたわけで…とか言い訳(誰に?)しながらこの曲でも泣いてたかな?放心状態でインターミッションに突入。それとこの曲、珍しくイントロでピアノの音色が入ったんですよってそれが妙に印象に残って。紅白で歌った羽田健太郎さんのピアノも思い出しました。

「思秋期」
 第2部後半に再び登場。「10代最後の秋に歌っておりました」というお馴染みの枕詞からはじまるおしゃべりも、今回は2度目にプラハを訪問したときに「思秋期」をドヴォルザークホールで歌った話なども加わり、話がどんどん広がりましたね。阿久悠先生と三木たかし先生はふたりで天国で曲を書いてらしゃるんですねと言ってから、私はまだ行きませんけどと言ってみたり。ここでこの秋にドヴォルザークホールでコンサートをすることになったことを報告して大阪と東京からツアーもありますという宣伝、そして10月にNHK大阪ホールであるコンサートの宣伝とお仕事もしっかりされておりました。ステージを広く使ってちゃんとステージ裏の観客にもアピールするなど、歌手というだけでなくエンターテイナーですね。ちなみに後半は鮮やかな赤いドレスでございました。

「シアワセノカケラ」
 3年前のシングル曲、相当思いいれがあるんですね。ずっと歌い続けられています。リリース当時はこの曲がいいと思ってしまうと人生で自分が挫折してしまってることを認めるような気がしてまだまだ自分は前を向いて走っていたいんだという焦燥感すら感じてしまって好きになれなず、なんでヒロリンがこの曲に思い入れがあるんだろうと思ってたこともありましたが、今回のコンサートでまったく印象が変わってしまいました。もちろんリリースから3年で母の闘病や死があったりそれ以外にもいろいろな人との出会いや別れ、そんな経験が自分を変えたのかもしれません。それ以上に、この曲を歌う前の宏美さんの「普通に生きていくのが大変な時代だから」という言葉にも胸を打たれました。もちろん、長引く不況や先の見えない環境問題、信じられないような事件など今の時代を語るのに評論家がそこここで言いつくされたような言葉かもしれませんが、大好きなことを仕事で選んだ宏美さんの口からこんな言葉を聞いたことで、なんで自分は肩肘はってこの曲を拒否してたんだろうと。このステージ中には「歌はもういいかなと、やめることも考えてた」「でも続けていてよかった」「これからもいい曲にめぐりあうために歌い続けて生きたい」と宏美さんが自分の言葉で率直に語る姿勢に衝撃すら覚えました。ここでまるでこの曲が最後かのように締めくくりの挨拶をしだしてから、「まだ2曲ありますね」なんてオチもあったのですが、歌がはじまったってほどなくまた涙が、「こんな曲で泣いてしまうなんて」なんてもう思うこともありませんでした。そうなってくるともうボロボロ。この曲に励まされる自分がいるんだと「発見」してしまったわけです。歌い終わると「がんばってください」というモノローグも加えられて、これまでになかったですよね?胸がジーンとしてしまいました。
 ただ・・・宏美さんも力が入りすぎるのかな?「シアワセノカケラはー♪」ってところでファルセット使ってたんですけど、そこに至るまでは宏美さんが普通に語りかけるように聞こえてきてたのがここの部分だけ「あ、歌なんだっけ」と急に冷静に思い出さされました。歌なんですけどね。レコーディングバージョンはスタジオ録音もドヴォルザークホール録音も軽くファルセットにはなってはいてもここまで強く歌い上げたりしてなかったような・・・いえいえ、けちつけてるわけじゃないんですけど、聞きなれてない歌い方のせいか気になってしまって。生き物ですからそのときどきによって歌は変わるものです。
 というわけで前回の問題、「泣いた曲」は「すみれ色の涙」と「シアワセノカケラ」でした。

「始まりの詩、あなたへ」
 現在のところ最新シングルの「始まりの詩、あなたへ」もリリースからまもなく1年、ファンにはすっかりおなじみですが、ライトな宏美ファンも多かった今回のコンサートではやはり「新曲」という受け取り方になるのかな?「シアワセノカケラ」がなかなか好きになれなかったのに比べて「始まりの詩、あなたへ」は最初に聞いたときから、「そうそう岩崎宏美にはこういうスケールの大きな曲が似合うよ!」とお気に入りでしたが、なかなかそれが世間に広がらないのが悲しい。京都コンサートホールでこの歌を聴いたときもここが一番という歌詞の部分が観客に伝わりにくいと書いた覚えがありますが、一番盛り上がるところで演奏も一緒に盛り上がるからヒロリンの歌声と演奏とがぶつかりあってしまっているように今回は感じました。盛り上げたいというのは人情なんでしょうけど、ヒロリンの歌声だけで十分盛り上がるので演奏はもっと控えめな音でもいいんじゃないかな?素人意見で申し訳ありませんが、スタジオ録音バージョンって意外に演奏控えめなんですよね。通常のコンサートではどんな演奏で聴けるか楽しみにしています。

「聖母たちのララバイ」
 チケット販売の告知でも書かれていましたから、開演前に配られたパンフレットのセットリストにこの曲名がなくてもみんな安心しきってましたね。アンコールの拍手が鳴り止まない中、アナウンサーが登場という大阪らしいコントがあった後で、「聖母たちのララバイ」。松田聖子さんが30周年で歌番組で古い歌をこの春いっぱい歌ったり、缶コーヒーのCMで「瞳はダイアモンド」を歌ったりしたことで「歌い方を崩す崩さない」論争みたいなのがファンの間であったようなんですけど…宏美さんにもそういうの5年ぐらい前までならあったのかな(わさとらしく遠い目)?そういうのも乗り越えて、わが道を行く「聖母たちのララバイ」芸の域に達していますよね。この歌声聴いてしまうと「もう好きにして!」(何を?)って全面降伏です。森昌子さんを見て「自分にもできるかも」(場内爆笑)とスター誕生からデビューしたアイドル歌手がこの全身全霊で歌わなければ歌えないナンバーを歌手を続けているかぎりセットリストからはずせない歌手人生が待っていたなんて、能力をある人を神様は見極めてらっしゃるなと、「夕暮れからひとり」の紹介を書いたときにもそんなことを書きましたが、観客席も一番盛り上がったところで終了。最後はスタンディングオベージョンをする人もでました。自分はまぁ腰が抜けて立てなかったってことで(ヒロリンがダイアナ・ロスのステージをはじめて見たときのネタ使いです)。一度、そでに引き上げてから、井村さんや京フィルのご挨拶のときにももう一度ステージに戻ってサイドから拍手をしている宏美さんにアナウンサーの方が大変関心されてました。スターぶらないところがいいところでもあり、もっとスターぶってもいいのではと思うところでもあり、宏美さんらしい最後でした。

 「声が出続ける限り歌います」と力強く宣言された宏美さん、ぜひぜひみなさま、宏美さんが歌っている間にコンサートで生歌聞いてください!

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posted by Alex at 01:31| 大阪 ☔| Comment(6) | TrackBack(0) | evergreen (女性ボーカル) | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Alexさん、皆さんこんばんは。

壮大なるレビューその2、大変興味深く拝読させていただきました。
「すみれ色の涙」でしたか!とても素敵な想い出ですね。情景こそ違いますが、私の中にも重なる部分があります。
レコード大賞のあとの紅白歌合戦も、受賞の時とはまた別の感動をいただいた、1981年大晦日でした。
近年の大晦日は、何とも淋しいものです…

追伸:温かいコメントをいただき、本当にありがとうございました。何とか元気です(苦笑)
Posted by カサノバM at 2010年05月25日 23:10
こんばんは!
壮大ってか読み返すと気持ち悪い(って自分で言っちゃだめか)。
大晦日、そろそろありなんじゃないかな?って思うけど、ご本人はゆっくり家族や友人達に囲まれてすごすほうが良いのかもしれませんね。
自分が年取ったせいか友達や知り合いに病院のお世話になる人が急激に増えてしまって、健康について考えさせられることが多い、今日この頃です。カサノバMさんもくれぐれもご自愛ください。自分はこの冬いろいろしんどかったのですが、気候が良くなってきたせいか、調子が良くなりあらためて健康のありがたさを実感しています。
Posted by Alex at 2010年05月26日 02:06
何かうまくコメントできないんですが、「音楽に感情を揺さぶられる」そんな瞬間ってありますよね。
心の琴線というか、その時々によって共鳴する音色が違うのかもしれません。

「岩崎宏美には歌しか出し物がないんです」とよく言ってますけど、その出し物で感動させてもらえる限り、もっといろんな人に生のステージを経験してもらいたいと、私も微力ながら宣伝部隊を続けたいと思います。
Posted by ギムリン at 2010年05月29日 09:36
ギムリンさん
こんにちは!
ほんとにそんなかんじ。その時々によって宏美さんの歌も変わるし、自分の受け取り方も変わるし、で何か突然シンクロしてこみ上げるものがあるというか。
今年のコンサート、チケットの売れ行き良いようで、大阪NHKホールは大きいですけど満員にできるのでは?と期待しております。
Posted by Alex at 2010年05月30日 18:38
Alexさん、皆さんこんにちは。

『DF倶楽部館』では、開設当初からのご厚情を賜り、本当にありがとうございました。
今のところ何とも云えませんが、NHK大阪ホールへ行ければなぁ…と思っております。いや、行きたいです!
それでは、今後ともよろしくお願い申し上げます。

御礼を込めて…カサノバM
Posted by カサノバM at 2010年06月05日 12:04
カサノバMさん
こんにちは!
お疲れ様でした。
こちらこそ本当にありがとうございました。
NHK大阪ホール、先行予約分、当選メール来ましたので、何事もないかぎり確実に行きます!
Posted by Alex at 2010年06月05日 14:08
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