ジャッジがちゃんと採点する
だから見ていて最高に楽しかった
1.サーシャ・コーエン
2.イリーナ・スルツカヤ
3.荒川静香
4.村主章枝
5.キミー・マイスナー
6.エレナ・ゲデヴァニシヴィリ
7.エミリー・ヒューズ
8.安藤美姫
結果は皆様ご存知の通りですからわざわざ書く必要もないかなと思いましたが、日本勢は想像以上の大健闘じゃないですか?(これ以上期待した人はマスコミに煽られすぎたとおもってここからまた応援してくださいね。)
荒川静香選手
荒川選手を応援するのは宝くじを買うようなものだと言いましたが、そのどきどき感はやっぱりたまりませんね。最初のトリプルルッツでバランスを崩したときにはやってしまったか、と思いましたがそこで手を突かずにダブルとーループにつないで無難にこなしてくれました。今にして思えば、ルッツでバランス崩したことで無理に3回転へつながなかったことがいい方向にでましたね。ルッツのランディングがよくて3回転につないでいればやはり転倒のリスクや回転不足にとられる可能性もあったので、これでよしとしましょう。続くトリプルフリップはいちばん良かったときの高さと流れが戻ってきて完璧。ダブルアクセルイにいたっては全選手中最高のアクセルだったと思います。
やはりモロゾフにしてよかった。それが新しいSPを見ての感想です。プログラムは点数が取れる範囲で最大限にシンプルにしたために、ジャンプやスピンを慎重にこなせるようになって、荒川選手はだいぶ楽な気持ちでSPを滑りきることができたと思います。たしかにタラソワのプログラムに比べればつなぎの部分での複雑さがなくなり、トランジッションの得点は若干低くなったかもしれません。しかしタラソワコーチのなにもかもで最高の得点を取りにいく作戦では、どんな能力の高い選手でも破綻せずにプログラムを終るのは無理。モロゾフのジャンプやスピンを大切にした構成で丁寧にやる作戦で結果的にスケーティングも丁寧になってスケーティングを評価するSSではコーエンやスルツカヤを越える最高点をもらえてます。これでフリーまで宝くじを握り締める気持ちで応援できますね!
荒川静香選手が全日本までフリーで使用し今朝トリノで滑ったSPの曲はショパンの幻想即興曲。一般的なピアノバージョンではなく、オーケストラバージョンだったので「あれ?」っと思われた方も多いのでは。これはスタンリーブラックオーケストラによる演奏(「Dimensions in Sound/Tribute to Chaplin」に収録)で、そのためかなりポップな仕上がりで、迫力はあるものの聞く方によって軽いと思えるかも。
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上位4人の点数比較
今回、新採点機能がかなりしっかり働いてる上に、ジャッジも余分な思惑なしに、新採点で行なわれる最初のオリンピックを成功させたいという気持ちが働いたのか、文句つけるところのほうがいつも多いのですが、かなり納得できたのではないでしょうか。
項目別に整理してみたいと思います。
コンビネーションジャンプ
1.7.59 村主章枝
2.7.44 イリーナ・スルツカヤ
3.7.30 荒川静香
4.7.16 サーシャ・コーエン
全員が今回は同じトリプルルッツ+ダブルトウループのコンビネーションを成功させました。この組み合わせの基礎点は7.3です。一番高さと流れのあった村主選手は0.29の加点が取れていたことになります。普段なら加点が取れるはずの荒川選手は加点が取れずにイーブン。ルッツの踏み切り足が規定と違ってるサーシャ・コーエン選手はしっかり減点されてます。サーシャ・コーエン選手のルッツに減点出した審判の勇気はすごいですね。今まで見過ごされてることも多かったです。
おもしろいことに全体の選手で見ると、上位選手はこのエレメンツが弱くて、3回転3回転を決めた若手選手高得点を獲得しています。
1.9.86 キミー・マイスナー
2.9.21 エレナ・ゲデヴァニシヴィリ
3.8.30 スザンナ・ポイキヨ
4.8.16 ジョアニー・ロシェ
5.7.73 サラ・マイヤー
単独のトリプルジャンプ
1.6.07 村主章枝
1.6.07 イリーナ・スルツカヤ
3.5.79 サーシャ・コーエン
4.5.36 荒川静香
ステップからの単独のトリプルジャンプも上位4人は全員ルッツジャンプの次に基礎点の高いフリップを選んできました(コンビネーションと同じジャンプは使えない)。こでも素晴らしい流れのジャンプを決めた村主選手がスルツカヤ選手と並んで1位。基礎点が5.5点のジャンプですから0.57も加点をもらっています。ルッツよりフリップが得意なコーエン選手は加点されていますし、逆にフリップジャンプでのエッジが正確でない荒川選手は減点くらってしまってますが、これも正しいジャッジといえます。
ダブルアクセル
1.4.44 イリーナ・スルツカヤ
2.4.30 荒川静香
3.3.44 村主章枝
4.3.10 サーシャ・コーエン
ダブルアクセルではターンからすぐ踏み切る難しい跳び方をしたスルツカヤ選手が基礎点3.3から1.14の加点を取って1位ですが、特筆すべきはシンプルな入り方でダブルアクセルを跳んだ荒川選手が、ジャンプに入るスピード、高さ、ジャンプの流れが評価されて、1.0の加点を取って僅差で2位なところ。これぞモロゾフの作戦炸裂ですね。以前はスパイラルが終ってから間がないところでしかもリンクの端でやっていたのを、荒川選手の一番見栄えのするジャンプですからその前にたっぷり時間を取って、トップスピードでしかもジャッジの正面で、そのアクセルの大きさが一番効果的に見えるプログラムにしてきた効果がこの高得点にでています。村主選手のダブルアクセルも大きな問題はありませんが、彼女はスピードを落とさないとアクセルやサルコウなどのエッジジャンプが跳べないという欠点があって、いつもより大きさがありましたが加点は0.14に押さえられました。着地がもう少しで乱れそうだったコーエンは減点になりました。
ジャンプスピン
1.3.64 Level4 イリーナ・スルツカヤ
2.3.50 Level4 荒川静香
3.2.59 Level3 村主章枝
3.2.59 Level3 サーシャ・コーエン
これはレベルに差が出ました。スルツカヤ選手と荒川選手はバラフライからはいるキャメルスピン(足を軸にTの字でまわるスピン)、村主選手とコーエン選手はデスドロップからはいるシットスピン(軸足を足を90度以上曲げて座るような姿勢でまわるスピン)。どちらの入り方でも難しい要素としてレベルアップの項目になります。さらに全員の選手がエッジチェンジといって通常後ろ方向に外側のエッジを使ってる回転を途中に前方向に外側のエッジをつかっての回転に変ります。同じ足、同じポジションなのに回ってる軸が一瞬大きくなったり回転してるときにエッジが描いてる円が大きくなる瞬間がエッジチェンジです。さらに難しいポジションで2回点以上まわるとここまでの3つの要素でレベル3が取れます。スルツカヤ選手と荒川選手は状態をねじって上向きの姿勢をしています。村主選手とコーエン選手もそれぞれシットの変形を使ってこの要素を満たしてレベル3。しかしスルツカヤ選手と荒川選手はさらにドーナツスピン(中野選手でおなじみですね)と言う難しい姿勢をいれて、2つの難しいポジションでスピンをまわったのでレベル4という最高レベルがもらえました。ジャンプスピンはレベル3では基礎点が2.3、レベル4では基礎点が3.0とここで差が少しつきました。
レイバックスピン
1.3.19 Level4 イリーナ・スルツカヤ
1.2.19 Level4 サーシャ・コーエン
2.3.11 Level4 荒川静香
3.2.01 Level3 村主章枝
状態を後ろにそらして回転する、女子選手を象徴するようなスピンです。コーエン選手が世界で一番美しいレイバック姿勢をするということで定評がありましたが、新採点ではシンプルなレイバックではレベルが取れずに姿勢変化や難しいポーズを求められるようになりました。これによって一番得したのはレイバックからビールマンにすればそれだけでレベル4が取れるという特例措置があるので、ビールマンが得意だったスルツカヤ選手。先シーズンはこれで点数を稼ぎまくっていました。コーエン選手と荒川選手はスルツカヤ選手ばかりにいい思いをさせてはいけないとばかりに今シーズンからレベル4を狙ってビールマンを取りいれてのオリンピック挑戦。シーズン初めはふたりともこのスピンに不安を残していましたがオリンピックではむしりスルツカヤのビールマンを越えるような美しいビールマンを見せてこの3人はこのエレメンツでの差がほとんどなくなりました。ビールマンスピンがない村主選手がここでは差をつけられてしまいました。サイドから後ろへの変化やスピードの変化などは他の3人と遜色なくやってるのですがビールマンだけがかけてレベル3止まりになってしまいました。スピンで少しづつ他の選手と差が付いていってしまいました。
コンビネーションスピン
1.4.36 Level4 イリーナ・スルツカヤ
3.4.21 Level4 サーシャ・コーエン
2.4.07 Level4 荒川静香
3.3.71 Level4 村主章枝
姿勢を変えながら一度フットチェンジをいれながたまわるコンビネーションスピンはプログラムの中でも盛り上がりますので全員がエンディングで実施しました。全員がレベル4を取りましたが基礎点3.5点からの加点の部分で差がでました。村主選手はフリーの最後のスピンでは彼女ならではの高速のバックスクラッチスピンをいれていますが、SPはそれが入れられないスピン構成になっていて残念。最後減速も見られてほかの選手と差が付いてしまいました。荒川選手だけはバックエントランスで入るのですが、通常の入りに比べて最初の回転速度が得られにくいにもかかわらずそん色なくやっていて、加点も取れていました。荒川選手はもともとスピンにそんなにバリエーションがなく、彼女の言葉を借りれば「休憩場所」だったのが、ここ数年で次々と新しいトライをして終ってみればSPはすべてレベル4で加点も取れてるという、得点源にかわっていました。これは彼女の努力の結晶ですね。ポジションが美しく回転も素晴らしかったコーエン選手が1位のポイントなのは納得ですが、たしかにバリエーションも多く両足でチェンジふっとして難しいことをしてるスルツカヤ選手ではありますが、それぞれがあまり美しいといえるポジションではなかったので、ここまでの加点には少し疑問が残ったところでした。
ステップシークエンス
1.3.74 Level3 サーシャ・コーエン
2.3.67 Level3 村主章枝
3.3.60 Level3 荒川静香
4.3.39 Level3 イリーナ・スルツカヤ
全員がステップシークエンスでストレートラインステップを選択してきました。ステップが今一番レベル4が取るのが難しいエレメンツで、今シーズンも男子では高橋選手、プルシェンコ選手など限られた選手にしかレベル4がでてなくて女子にはでていません。そのせいでレベル3の幅が広くなりすぎて、ちょっと難しい構成からかなり難しい構成までレベル3になってしまって差がつかなくなってしまっています。僅差ではありますが音楽にのって観客を盛り上げたコーエン選手が1位、そしてフラメンコを踊りながらリンクを縦断した村主選手の2位には納得ではないでしょうか。荒川選手は一番深いエッジを使って一番難しい構成にしていましたが、レベル4には届かず逆に、終盤で小さなエラーに取られても仕方が無い部分などもあり、そのあたりで3位になったのではないでしょうか。あきらかな大きな躓きがあったスルツカヤ選手の加点が伸びなかったのは当然ですが・・・エラーがあったら本当は加点したらだめなのに不思議なくらい。レベルも2にダウングレードするべきでなかったかと思いますが、ここはコーラーの判断にスルツカヤ選手は助けられましたね。
スパイラルステップシークエンス
1.5.40 Level4 サーシャ・コーエン
2.4.69 Level4 荒川静香
3.3.83 Level4 イリーナ・スルツカヤ
4.3.53 Level3 村主章枝
今回、思わぬ大差が付いて勝負の分かれ目になったのがスパイラル・ステップ・シークエンス。片足を腰より高い位置に上げるスパイラルポジションを組み合わせるエレメンツです。柔軟性と手足を大きくストレッチさせて美しく見せることのできるコーエン選手の一番の見せ場であり、今回全選手全エレメンツを通じて唯一+3の加点をつけるジャッジがいたのがコーエン選手のスパイラルステップシークエンスでした。荒川選手やスルツカヤ選手に比べるとスピード不足を感じましたが、逆にゆっくりたっぷりと時間をかけて見せたほうが得点にはつながるのかもしれません。荒川選手も12月の全日本選手権から取り入れた新しい構成でY字のスプリット姿勢でエッジチェンジを行なってS字のカーブを滑り最後に手を離してノーハンドでキープするというオリジナルの素晴らしいスパイラルでしたが、全日本ほどには観客が沸かなかったのが残念でしたね。大きい会場ではわかりにくいトリックだったかもしれませんが、ジャッジにはしっかり評価されて5人から+2の加点をもらっています。逆に荒川選手の以前の構成に似ているビールマンスパイラルでのエッジチェンジで臨んだスルツカヤ選手は、他にも多くの選手がビールマンでのエッジチェンジをやっていることから新鮮味を欠いたのと、スピンでもビールマンを多用した構成で多様性が感じられなかったのか、コーエン選手や荒川選手から遅れてしまいました。村主選手はレベル4を取れるはずの構成だったはずですが、今回はレベル3しか取れませんでした。インタビューで小さなミスがあったと語っていたので、しっかりビデオを繰り返し見ればその原因がわかるかもしれませんが、せっかくジャンプで他の3人を越える得点を取っていながら、スピンやスパイラルで他の選手に後れを取ってしまいました。
技術点合計
1.36.21 イリーナ・スルツカヤ
2.35.93 荒川静香
3.35.33 サーシャ・コーエン
4.32.61 村主章枝
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フィギュアSPの情報、すごく詳しいですね!さすがです!私も興奮冷めやらぬ中、あわててblogを更新したのですがこちらを拝見すると自分の分析があまりにもシロウト丸出しで恥ずかしくなってきました(汗
じっくり読ませていただいて、フリーに備えたいと思います。
凄いですね、ショートの演技に
プラス要素の解説をいれていただいたって感じで、大大満足です!
素晴らしく緻密な分析に脱帽です。
フリーも素晴らしい演技が見られると嬉しいですね!
先日はTBありがとうございました。
新採点システムですと
素人の私が「成功」と思っていたジャンプも
「回転不足」になったりして、
点数が出るまでの時間が
以前より長く感じます。
私のブログでこちらのブログを紹介しました。
なんと言っても専門的で分かりやすいので…。
フリーがますます楽しみになってきました。
トラバありがとうございます。
詳しいんですね!しかもわかりやすい解説。
ど素人の私にも参考になり、フリーは違った視点で楽しめそうです。
TBありがとうございました。
すごく詳細に分析されていて
フリーが楽しく見れそうです。
よろしければ読んでくださいね。
本日フィギュアの競技は最終日です!
結論として今回のオリンピックは勝負でなく作戦勝ちという事なのでしょうかね。もちろん作戦を遂行する能力は高く評価して良いと思います。それだからこちらの報道は technical brilliance なのでしょう。