2009年12月15日

2009グランプリファイナル 第3日目 男子シングルフリー

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ライサチェック選手が優勝、織田選手が五輪内定
 男子シングルは世界チャンピオンのエヴァン・ライサチェック選手が逆転で優勝。SP&フリーの両方で安定した演技を披露した織田信成選手が2位、ジョニー・ウィアー選手が3位でした。前日SPで首位に立った高橋大輔選手は4回転ジャンプで転倒したほか、スピンでトラブルがあり5位と後退しました。織田信成選手はオリンピック代表に内定しました。 

男子シングル最終結果
1 Evan LYSACEK USA 249.45点 SP2位 フリー1位
2 Nobunari ODA JPN 243.36点 SP3位 フリー3位
3 Johnny WEIR USA 237.35点 SP4位 フリー4位
4 Jeremy ABBOTT USA 235.38点 SP5位 フリー2位
5 Daisuke TAKAHASHI JPN 24.60点 SP1位 フリー5位
6 Tomas VERNER CZE 192.32点 SP6位 フリー6位

男子フリー結果
1 Evan LYSACEK USA 159.60 TES75.60 PCS84.00
2 Jeremy ABBOTT USA 158.73 TES82.13 PCS77.60 -1.00
3 Nobunari ODA JPN 155.71 TES77.71 PCS78.00
4 Johnny WEIR USA 152.75 TES77.25 PCS75.50
5 Daisuke TAKAHASHI JPN 134.65 TES53.25 PCS82.40 -1.00
6 Tomas VERNER CZE 122.15 TES52.15 PCS71.00 -1.00



トマシュ・ベルネル選手
 良くも悪くもベルネル選手らしいグランプリファイナルとなりました。SPで綺麗に成功させた4回転をフリーでも最初のトライが2回転になったすぐ直後にもう1度挑戦してクリーンに成功させると、やや苦手にしてるトリプルアクセルもステップをはさんで単独ジャンプとコンビネーションで成功させ、これは調子がいいのか?と思わせておいて後半のトリプルジャンプが全滅、シングルジャンプが3つ続いたあたりはもう悪いときのベルネル選手の「真骨頂」(NHKアナ風)、残念な演技となってしまいました。得意のステップでもエラーがあったりバランスを崩したりといったところが見られましたので、時差ボケだけでなく、後から体調不良もあったという話がでてきて頷かされました。しかし、4回転をフリーとSPの両方で成功させたことで十分にポテンシャルの高さは示せましたので、オリンピックに向けてうまく調整できれば爆発的なポイントを稼ぐ可能性は十分にあります。

ジェレミー・アボット選手
 時差など調整に苦しんだアボット選手ですが、ベストとは言えないまでもSPより体は動いてましたし、SPの失敗に引きずられることなく、今できることをやろうという姿勢が貫かれ、この日、コーチと設定した目標はきっちりこなせた印象。もちろん大会前はグランプリファイナル2連覇という意気込みもあったかと思いますが、今一番アボット選手に大事なことは全米選手権できっちり結果を残してオリンピック代表入りすること。当然、今回のように全米でもSPで失敗して追い込まれたポジションでフリーを迎える可能性だってあるわけで、そういった場面を想定してフリーを同戦うかといういいシミュレーションができたのではないでしょうか?その上で4回転に挑戦して失敗しても残りのジャンプをきっちりまとめられるということが確認できたのは大きいと思います。SPで点差がついていたので表彰台こそ逃しましたが、このメンバーでフリー2位というのは自信をもって全米、そしてオリンピックを迎えられそうです。スケートカナダでも思わず引き込まれてしまったプログラム、今回も何度も何度も見返してしまいました。もともと、しっかりしたスケーティングとしなやかな身のこなしには定評がありましたが、腕と手の表現が丁寧になって、より音楽を繊細に評価できるようになったように感じます。繰り返し見ているうちに、スケート観戦としては邪道なんですけど、手ばっかり見ている自分に気づかされるときがありました。長い腕の先に手があるっていうことをとても効果的に使われていますね。

ジョニー・ウィアー選手
 今大会、一番落ち着いた演技を見せたのはウィアー選手だったのではないでしょうか?ウィアー選手もアボット選手同様、全米選手権を勝ち抜いてオリンピック代表入りを目指しているわけですが、若手のアダム・リッポン選手やブランドン・ムロズ選手の追い上げや全米では観客を味方にし好成績を収めるライアン・ブラッドリー選手らと激しい争いが待っているわけで、ウィアー選手にとっては今大会のように落ち着いて自分ができることを確実にやることが大切になってきます。フリーでコンビネーションであと1回しかも3連続が入れられるというのはもったいなかったですが、SPとフリーの両方で大きなミスがなかったのはウィアー選手だけ。これまで大きな減点になることが多かったフリップジャンプのエッジエラー判定も今回はアテンションマーク「!」にとどまり、その上でフリーでは加点まで取れたことは大きな収穫。スピン、ステップでも大きな取りこぼしはなく、また4回転についてもオリンピックへ向け練習はしているとは思いますが、とりあえず当面は封印するという方向性が見えているので、迷い無く全米選手権を迎えられそうです。

織田信成選手
 織田選手は「今大会で五輪代表内定をもらう」という目標設定がはっきりしていて、その目標をクリアするための最善策は何かというのがはっきり戦略に表われて、4回転をはずすことにも躊躇を感じさせませんでした。中盤のアクセルが抜けたときのリカバリーも次の3連続でトリプルトウループを入れるというのはきっちり約束事として確率しているようですし(ほかのグランプリ大会でもありましたよね?)、これまでザヤックルールで痛い目にあってきてますのでそういった対策もきっちりできているようです。SPに比べて音楽やテーマ、振付と織田選手の個性とに親和性がありますし、後ろにライサチェック選手、高橋選手を残していてもジャッジは点数を出しやすかったと思います。状態の動きで本人がのりのりで表現できているところと、ただ与えられている振付を追いかけてるだけのところで表現にばらつき(めりはりとは感じられないので…)があったりするところが課題ではないかと思いますが、オリンピックまで2ヶ月という時間ができた織田選手、4回転を含め、次はメダルを獲得するために何をどうビルドアップしていくのか、モロゾフコーチの手腕への期待もありますし楽しみです。

エヴァン・ライサチェック選手
 エヴァン・ライサチェック選手も今大会の目標がはっきりしていましたね。「勝つこと」それに尽きたのではないでしょうか?これで中国大会で織田選手に負けたイメージもすっかり払拭できましたし、世界選手権で優勝したことがフロックじゃないことを証明しました。グランプリ大会でダウングレードに苦しんだトリプルアクセルも成功させた3回はすべて認定、できればフリーの2回目も成功しておきたかったところだと思いますが、ライサチェック選手はジャンプ以外でも取りこぼしがほとんどなく加点がもらえるところまで仕上げってきてるのがすごい。長い手足で綺麗なラインを作っるスピンはその長い手足を折り曲げたときには回転速度が一段とまし、なおかつ軸がまったくずれない。ステップでも長い手足をもてあますことなく細かいリズムにしっかりあわせようとする。どうしても曲はSPい比べて弱いかなと思うフリーですが、今回はそこも彼自身の気迫でカバーしたのではないかと思います。ここまでできちゃうと全米&オリンピックでの4回転は無いかな?もちろんプルシェンコ選手やジュベール選手などが4回転を入れて完璧に滑れば勝ち目はないですが、なにかミスをしたときには金メダルの可能性もでてくる、そんなポジションにいる中ではパトリック・チャン選手や織田信成選手よりライサチェック選手だというアピールになったと思います。

高橋大輔選手
 高橋選手は目標は「五輪代表内定」でも「グランプリファイナルに勝つこと」でもなかったのは明らか。「オリンピックで勝てる内容を目指す」だからほかの滑走者が終った時点で4回転を入れなくても勝てるということが分かっていてもそれをはずすという選択肢はまったく無かったのだと思います。4回転トウループの転倒より2回目のトリプルアクセルの失敗のほうに動揺したのでしょうか、バタフライキャメルからの足かえで体をおこしてアップライトスピンを入れてしまったため、これがコンビネーションスピンとなったために後半のスピン2つと重複と判定され、残りのスピンがノーカウントと大きく点数を失うトラブルがありました。フリーで3つ入れられるスピンはコンビネーションスピン/フライングジャンプスピン/ワンポジションのスピンと決められています。高橋選手の場合は最初のスピンはフライングジャンプ(ここではバタフライ)から入りますが本来はキャメルポジションだけのワンポジションのスピンとして実施しています。しかしスピンの足替えのテクニックの中でも難しい右足のキャメルから左足のキャメルへのチェンジフットでバランスを崩してしまい、立て直すためにキャメルポジションを維持することをあきらめ、シット、そしてアップライトへとポジションもチェンジしてしまったためにコンビネーションスピンとなってしまいました。これが次の要素のフライングシットスピンから入る足替えのコンビネーションスピンとプロトコールでの略号の表記が一緒(FCCoSP)になってしまったため次のスピンがノーカウント。最後は普通の足替えコンビネーションスピンで略号の表記は変わるのですが、3つのスピンのうち、ひとつはワンポジションのスピンでなければならないので、これもノーカウントと大幅に得点を失ってしまいました。これは演技中に頭の中で考えて回避するのはレベルの高い要求になってしまいますので、最初の難しいキャメルの足替えスピンの安定感を上げるか、以前のように難度は落としてシットスピンの足替えにするかといったことになるでしょうか。点数が伸びず順位を落としたわけですが、プログラムはこのシーズンに滑るべくしてめぐりめぐった運命かなと、あまりウェットには考えたくないのですが、高橋選手が滑ることよってさらに意味あるものになったなとますます好きになりました。翌日のエキシビションへ向けた公式練習では4回転をどんどん練習し、エキシビションのフィナーレではまだ誰も公式戦では成功させていない夢の4回転のフリップに挑戦してみせるなど、すっかり頭は切り替わって、前へ前へ進んでる様子がわかり、安心しました。

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この記事へのコメント
ファイナルが終わって全日本も近づいていますが、その間ジュベールは足、プルシェンコも膝、ランビエールも持病を騙し騙し気味の練習ということで日本勢も気をつけてほしいと思います。高橋選手も4Fとか4Aなど物騒な!?練習をしているとか。
ところで今回のファイナルで安定しているのはライサチェク選手と織田選手だと思うのですが、2人とも4回転を入れて滑った時にどうなるのかが未知数だという共通点がありますよね。4回転を抜いてクリーンにまとめたほうが今のシステムでは利口だとういのは事実かもしれないですが、4回転抜きのオリンピックチャンピオンってどうなんだろうというのが私自身の感想です。今の段階では女子以上に予想出来ないのが男子シングルかもしれませんね。 チャオ!
Posted by チャオ at 2009年12月16日 20:48
チャオさん
こんばんは!
そうですね、ライサチェック選手や織田選手はあえて4回転をいれないほうが演技全体も安定してメダルを取れる可能性は高くなりそうです。でもそれが「金」になるかというと、やはり4回転を持っててなおかつ素敵なプログラムを滑れる選手達が揃って失敗しないとということになってくるので、4回転なし勢のパトリック・チャン選手などの存在も考えると可能性は低いかなと。ただ世界チャンピオンのライサチェック選手はともかく、世界選手権で台乗りを経験していない織田選手はもし「メダル」が獲れれば凄いことだと思うので「金」へのこだわりはないのかなーなんて思ったり。男子はリスクの高い大技のせいで、「失敗」がらみでどう順位が転ぶかわからないので予想が難しいですね。
Posted by Alex at 2009年12月16日 23:42
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