2009年08月08日

紙ジャケ復刻「オーバーナイト・サクセス」

テリ・デザリオwithジョーイ・カルボーン&リッチー・ズィトー
 以前のエントリーで粗方紹介済みなのですが、あらためて、このたびめだたく紙ジャケ仕様で復活したテリ・デザリオが日本でのみリリースした「Overnight Success at Broadway/オーバーナイト・サクセス」(アートワークや解説に「Over Night」と「Overnight」が混在してるのがいかにも日本発信の作品って気が・・・)のご紹介。
 ソニーのカセットテープのCMソングにタイトルナンバーが起用されて話題になったのは1984年ということですから、もう25年も前・・・驚きすぎてこの件には触れたくなくなっちゃいますね。1978年に当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったビージーズのバリー・ギブが全面バックアップした「Ain't Nothing Gonna Keep Me From You」を収録したデビューアルバムで注目を集めたテリ・デザリオ、KC&ザ・サンシャインバンドのKCとは高校時代の同級生でそれが縁でのデュエット「Yes, I'm Ready」が2位まで上昇する大ヒットの実績が本国アメリカでもありました。しかし所属していたカサブランカレコードが80年代に入ってディスコブームの終焉や稼ぎ頭のドナ・サマーの移籍などの影響で創業者の二ール・ボガードと経営権の半分を手にしていたポリグラム社とが裁判沙汰となる内紛状態となり、テリの活動は停滞してしまっていました。そんなところに舞い込んだのが日本のソニーのCMソングだったわけです。すでに映画「里美八犬伝」のサントラなどで日本で仕事の実績があったジョーイ・カルボーンがキーマンとなったプロジェクトでそのジョーイの指名でテリ・デザリオがボーカルで参加した形だと思われますので、アルバムのアーティスト表記にはジョーイ・カルボーンの名前が大きくフィーチャーされています。復刻された当時の解説によるとデザリオもカルボーンももうひとりのキーマンであるズィトーもイタリア系アメリカ人ということで、ソプラノズの世界と言ってしまうと大げさですが、同胞を大事にするイタリア系のコネクションならではのチーム結成であったことを知ることができました。
 ジョーイ・カルボーンは現在に至るまで日本との縁は続いていて、21世紀に入ってからもKAT-TUNなどにヒット曲を提供し、むしろますます活躍されている印象。英語版のWikipediaには項目がないのに、日本語版のウィキペディアにはちゃんと登録されてる不思議なアメリカ人でございます。ニューヨーク、ブルックリン出身のイタリア系アメリカ人でジョーイなんて・・・きっと典型的な名前なのかな?まんまフレンズのジョーイですね。
 そしてカルボーンのブルックリン時代からの幼馴染がリッチー・ズィトー。彼はジョルジオ・モロダーの片腕として活躍したギタリスト/マルチプレイヤー/プロデューサーで、今回同時に購入した「Top Gun」のサントラ盤でも大活躍しています。ジョルジオ・モロダーもイタリア人ですから、本当に彼らはコネクションを大事にするんですね。私の大好きなダイアナ・ロスとジョルジオ・モロダーとの幻のセッションにも当然参加していて、ちょうどこのアルバムと同時期にリリースされたアルバム「Swept Away」にはその中から未完成のトラックをダイアナ自身がセルフプロデュースで仕上げたナンバーが何曲か収録されていると言われていますが、その中の1曲「Touch By Touch」には彼の名前がコンポーザーとしてしっかりクレジットされております。加えて以前、ナイル・ロジャースかもとブログで紹介したこともある「Rescue Me」でのギターの乾いたカッティング演奏はもしかしたらリッチー・ズィトーかもしれません。
 「オーバーナイト・サクセス」のヒットにより、日本でアルバムのディールを得て制作された本作は当然日本のみでの発売。ジョーイ・カルボーンやリッチー・ズィトーのファンの方には数少ないリーダー作ですので間違いなくお奨め。しかし、バックトラックのほとんどをマルチプレイヤーであるジョーイとリッチーの二人で仕上げていることもあってか、家庭内手工業的で、ホームスタジオでレコーディングされたデモテープ臭がどうしても拭えません。それが80sの音だと言われればそうだと思うし、私も嫌いな世界ではないのですが、生のストリングスを使ったり、テリ以外の声によるバックコーラスを厚くすることによって、もう少し普遍的なサウンドになったのではないかなとそこが惜しいし、当時のCMやサウンドの世界に郷愁を感じない新規のファンの方にはお奨めしにくいところであります。
 初回限定盤と謳われていますが早々に売り切れることはないものの、アンコールプレスされる人気盤にはならないと予想されるので店頭に並んでいるうちにお買い上げくださいませ。

オーバーナイト・サクセス(紙ジャケット仕様)オーバーナイト・サクセス [完全限定生産]
テリー・デサリオ
発売日 2009/07/22
1890円Amazon

Overnight Success
 80sなシンセサイザーによるイントロで始まる「オーバーナイト・サクセス」はテリのキュートな歌声にぴったり。この口当たりの軽さはあの時期限定ですね。

Ocean Love
 リッチーのペンによるポップチューンはメロディーがどこか60年代的な懐メロ風。

Dance Of Love
 こちらはリッチーお得意のハードロック的な解釈を入れたポップチューン。テリもなりきってがんばっております。

All Of My Love
 ジョーイ担当のバラード。当時はシーナ・イーストンがこういうのをお得意にしておりました。テリの歌いまわしもどこかシーナ・イーストンっぽいのがほほえましい。グレッグ・マティソンがプロデュースしたシーナのアルバムに入っていませんでしたっけ?ってぐらい似ております。イントロなんて「愛・ひととき/We've Got Tonight」だし。

Let's Dance
 ジョーイ&リッチーで再び「オーバーナイト・サクセス」の世界を再現。当時のディスコってこういうのかかってたんですかね?実際に踊るとなると超ハードル高そうなんですけど。

Straight To The Heart
 こちらはリッチー担当のバラード。産業ロック系のバンドがラジオでオンエアを稼ぎたいときに歌いがちなナンバー。

Reach For The Top
 こちらも「オーバーナイト・サクセス」の続編的なポップチューン。サウンドだけでなく歌詞もアルバムタイトル「Overnight Success at Broadway」に呼応したナンバーを並べてるという構成のようです。

Just Loving You
 今回ボーナストラックがなかったということはこのセッションでのアウトトラックは無かったということなのでしょうか?日本だけでのリリースということを考えると全8曲でバジェットは一杯一杯だったのかもしれません。為替もまだまだ1ドル240円とかの頃ですものね。最後はジョーイ担当のバラード。ジョーイ担当だとまたまたシーナ風になるんですね。当時はシーナ・イーストンがアルバム制作の際に候補曲をいっぱい集めることで有名でしたが(EMIアメリカの副社長命令ですもんね)、そこに応募してたナンバーかも。デモボーカルがシーナ風になってたためにテリもそれに引っ張られたのではないかというほどに似よう。

posted by Alex at 14:56| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | evergreen (1980's Music) | 更新情報をチェックする
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