全日本男子シングルの採点ミスが発覚し1位と2位との順位が入れ替わるという第一報を聞いたとき、「やっぱり」と思いました。スカパー!フジ739で観戦してたのですが、織田信成選手の点数がでたときに「あれ?」と思ったからでした。見かけのミスは最初のコンビネーションジャンプの転倒ひとつだけですが、繰り返したジャンプの数があきらかにルールを越えていて最後のジャンプは得点に計算されないはずでした。そして最後のスピンにもふらつきがあって計画していたレベルは取れていないのに技術点にあたるTESが彼の自己ベスト(74.84)を越えた(75.70)だったからです。
ザヤックルール
フリープログラムに入れられるジャンプの数には制限があります。全体で8ヶ所、そのうち3ヶ所(最低1ヶ所)では2つのジャンプを組み合わせるコンビネーションジャンプを入れることができます。そのうちのひとつは3つのジャンプを組み合わせるコンビネーションを入れることが可能です。ただし、3回転以上のジャンプを2回繰り返して跳ぶことができるのは6種類のジャンプのうち2種類までと決められています。これは通常ザヤックルールと呼ばれ、アメリカのエレーヌ・ザヤック選手が得意のトリプルジャンプを何度もプログラムに入れたときに、それでは全体のバランスが崩れてよくないということでこのルールができ、新採点でも引き続きこの制限が生きています。
織田信成選手のジャンプ構成
ここで織田選手が実施したジャンプ構成を振り返って見ましょう。
1.トリプルアクセル-トリプルトウループ-トリプルループ
3連続のコンビネーションジャンプ。最後のトリプルループで転倒。
2.トリプルルッツ-ダブルトウループ
2連続のコンビネーションジャンプ
3.トリプルサルコウ
4.ダブルアクセル-トリプルトウループ
2連続のコンビネーションジャンプ
5.トリプルフリップ
6.トリプルループ
7.ダブルアクセル
8.トリプルルッツ
ご覧になってわかりますが、「トリプルトウループ、トリプルループ、トリプルルッツ」の3種類を2度繰り返して跳んでいるいるので、この場合最後に跳んだトリプルルッツジャンプがノーカウントとなり0点で計算しなければなりません。これを実際には得点に加算してしまったために、採点に間違いができてしまったわけです。
練習では最初の3連続を3−3−2で練習していてたところを、今回は優勝を狙って攻めの姿勢で3−3−3にトライしたんだと思います。この場合は中盤のダブルアクセル-トリプルトウループをダブルアクセル-ダブルトウループに変更して対応すればルール違反をせずに高得点が狙えたわけです。
私も点数に違和感がありましたが、プロトコールがでたら確認しようとは思ったものの、私レベルのファンが気づくようなことをジャッジが気づいていないはずはないと思いました。最終結果でもフリーは高橋大輔選手に負けていましたからショートプログラムでの点差があったから逃げ切れたのだろうなぐらいに思いました。
それと、最初の3連続ジャンプが転倒だったためにもしかしてトリプルループにトライしたのではなくダブルループでまわりすぎたと判断されたのかなとも少ない可能性として考えました。
織田選手がなぜミスをしてしまったか
NHK杯のフリーでは、最初に失敗したジャンプを取り返すためにプログラムを滑りながら変更してジャンプの構成を変え、優勝に結びつけた織田選手。ふだんからいろいろなシュミレーションを行い、いろいろなパターンの構成を考えて本番に臨むと言っていた織田選手らしかたぬミスです。ひとつにはオリンピックがかかった最後のチャンス、あまりに演技に集中するあまり、ミスしたのでしょうか。今回最初のミスはあったもののむしろジャンプの調子がよく、残りのジャンプをすべて成功させていたので、思わずやってしまったのかもしれません。
もう一つは、私が考えた少ない可能性とかぶりますが、最初の3−3−3にトライしたものの最後のジャンプが微妙な回転で転倒したために、織田選手にジャッジがこれを3回転にトライした思われるか2回転にトライしたと思われるかわからず、どうせならということで後半のトリプルジャンプへ挑戦したのかもしれません。
いろいろニュースをチェックすると織田選手がトリプルジャンプを3つ重複した理由は後者の方の3連続の最後のトリプルがダブルになると判断したのが理由のようです。
システムの盲点
新ルールでは、3人のコーラーが合議で選手が実施した技の種類とレベル(ジャンプの場合は回転数)を判断しコンピューターに入力、ジャッジはその技の実施について+3から-3までの7段階で評価するという2重の作業を行なっています。ジャンプの繰り返しなどの違反があった場合はコーラーがこれを指摘しなければならないことになっていますが、今回は見逃してしまったようです。通常であればコンピューターの方でエラーを発見できるのですが、どうもこのシステムに不備があるらしく、3回転が3回転と判定されて入力されてる場合にはエラーがでるのですが、3回転を回転不足と判定して2回転と入力した場合にはこのエラーがでないので手作業で修正しなければならないようなことになってるのではないでしょうか。
ニュースによると国際スケート連盟の最新版だとこのようなミスは起きないが、日本は「英語版」がネックと言う理由で独自のシステムを使っていたことが原因のひとつだそうです。
いずれにしても早急にシステムの変更やコーラーの再教育を実施して2度とこのような間違いがないよう再発防止を図ることは当然です。しかし、それには疑問があります。日本スケート連盟には前科があるからです。
一番の問題点 大きな誤審が以前にもあった
昨シーズンの全日本ジュニア選手権の男子のフリーでも、表彰式終了後に、フリーの採点で初期に入力していた係数に誤りがありそれに基づいて順位を確定するという誤審があり、このとき順位が変わったのは2人どころでなく、大幅に順位が入れ替わるという大失態でした。マスコミ等で取り上げられることがなかったので、内部でどのような処分が行なわれて、どのような対策がとられたのかファンの側には伝わってきませんでしたが、このときに徹底的に再発防止を図っていればこんなことにはならなかったはず。
特に今回の全日本選手権はオリンピック選考がかかり世間の注目が高い試合でした。しかも、浅田真央選手のオリンピック出場問題での日本スケート連盟の対応のまずさに組織に対する疑問が多く投げかけられているときに、このような順位が表彰式後に入れ替わるようなことがあれば、よからぬ疑惑さえ持たれかねません。これから高い授業料を払うことになるのではないでしょうか。
オリンピック・・・
今度のトリノオリンピックが新採点方式で行なわれる最初のオリンピック。このような採点上のミスが発生し、金メダリストと銀メダリストが入れ替わるようなことになれば、前回ソルトレークでの採点スキャンダルがきっかけで採用された新ルールがあらたなスキャンダルを生むことになるのではないかと心配になります。
泣き崩れた織田選手
ご存知のように私は織田信成選手のファンでこのブログでも彼を応援していました。織田選手が今どんな気持ちなのか心配です。織田選手が表彰式終了後に、順位の入れ替わりを聞かされると泣き崩れ、そのままホテルへ帰ったようです。連盟は表彰式をやり直すことを考えていたようですが結局、高橋選手だけが優勝カップを持って観客がほとんど帰ったリンクへ登場してマスコミの撮影などに応じたそうです。
明日からもマスコミの取材が殺到し、織田選手や高橋選手を悩ませるでしょう。日本連盟は今回の事件を反省し全力で二人の選手をマスコミの取材から守ってほしいです。選手が傷ついたことを謙虚に反省し今度こそこういった事件が再発しないように防止策を実施して欲しいです。心から願います。
織田選手と高橋選手は同じ大学の先輩後輩で、長い間同じリンクで練習してきた盟友でもあります。ここまで激しくオリンピック出場を争っていながらお互いがお互いをリスペクトし、そして思いやるという理想的なライバル関係を築いてきました。その二人のオリンピックへの争いの最後を飾る試合がこんな形で泥が塗られるなんて残念でなりません。両選手がどんな素晴らしいアスリートであるかはnifty特集も担当されてるライターの青島さんのインタビューをメインに編集され、ふたり仲良くが表紙になっているCutting Edge―日本男子フィギュアスケートオフィシャルファンブック
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「高橋が初優勝−採点ミスの大失態」
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「全日本フィギュア・織田信成の自由演技」
「男子は高橋が逆転V、織田2位 全日本選手権」










また、詳しい考察で、私もとても参考になりました。
私はフィギアスケートは素人なので、詳しいことは判りませんでしたが・・・正直、冷静に考えた時、最初の優勝は、SPの得点が高かった上で何とかキープできたものだったという気持ちはありました。
実際に、フリーのみの得点だけ見ると、高橋選手の方が上回っていましたよね。
でも、表彰台にいったん上げておいてから、取り上げるなんて、そのタイミングはあまりにもヒドイと思いました。
得に織田君の気持ちを考えるとホントにやりきれません・・・。
「泣き崩れた」と知って、私も涙があふれました。
高橋君も、これまでのインタビューなどを見ると、とっても気持ちがやさしい選手だと思うので今回のことは尚更、辛いだろうな、と思います。
会見でも「素直に喜べない。自分が逆の立場だったら悔しいと思う」と、後輩の織田君を気遣うような発言をしていて、ホントにやりきれませんでした。
一人、宿舎へと帰っていった織田君が心配です。
どうか、今は彼の傷が癒えるのを信じて待つしかありません。
織田君なら、きっと次へつながるチャンスがあると思います。
ドキドキしながらテレビ観戦していた昨日の全日本選手権男子フリー。
まさか一度確定した順位が入れ替えになるだなんて夢にも思わず、素人なので訳もわからずおろおろするばかりで。
あちらこちらのサイト等を巡り、こちらのBlogで詳しい考察を読ませて頂き、やっと事情が飲み込めた次第です。
以前からのファンの方だけではなく、現在は女子の代表争いで世間的に注目されているフィギュアなのに、何故こんなことに・・・。
フィギュアというスポーツに魅了された新しいファンを失望させないためにも、今後二度とこのようなミスが起こらないことを願います。
それでは、フィギュアの勉強のためにもまた遊びに来させて頂きますね。
一晩たって、怒りがこみ上げてきました。ブログに書いてるときは冷静になるべくなにがあったかだけ書くというつもりでしたが、あまりにも織田選手は不憫すぎます。
もちろん、得点が修正されずに織田選手がチャンピオンのままでもそれもまた両方の選手にとって不幸なわけですから、少なくても、表彰式始めるまでにもう一度、得点の見直しは行なわれるべきではなかったと思います。今夜はエキシビションがありますが、織田選手は気持ちよくでてきてくれるのでしょうか。
フィギュア知識ゼロのぼくにはこの記事はとっても分かりやすくて、採点ミスの概要が大体分かりました。ありがとうございました。
今回は浅田舞選手のときにもコンピュータートラブルがあって、後の選手に影響を与えたと聞きました。当たり前のことを当たり前にやって、選手が演技に集中できるような環境を作るとこがなぜできないのでしょうか?そんな難しいことではないはずなのに…。今回の事はしっかり反省材料にして、今後に生かしてもらいたいです。
以前にも採点ミスで順位が変わったりしていたんですね。
このように大きな大会では人生が変わりかねないわけですから、しっかりしていただきたいです。
巻き込まれる選手たちがかわいそうです。
非常にわかりやすい説明でした。
織田選手本当にかわいそうです。ミスは絶対にないとは言い切れないものですがこういう場でのミスは本当になくしてほしいです。
あとフジテレビもなぜ深夜に放送なんでしょうか?フジテレビの放送の仕方が納得いきません。
織田選手、今夜姿を見せてくれるかどうかはわかりませんが、こんなつまんないことで、スケートを嫌いになったり、トラウマになって調子を崩したりしないことを祈るばかりです。
フジテレビは男子を深夜に放送してくれるようようですが、大阪では放送ないんです。
わかりやすく詳しい解説で、この問題の詳細がよくわかりました。重ねてありがとうございます。
織田選手には、今後に向けて周りがケアしていかないといけないですね。
私はスポーツを見るのが好きなのですが,細かいルールまでは知りません。
だから,細かい説明があってすごく分かりやすかったです。ありがとうございます。
今回の採点ミスは明らかに”人災”だと読みました。
織田選手や高橋選手のような選手をもう出さないよう,これからはこんなことが起きないようにしてもらいたいものですね。
私はスポーツを見るのが好きなのですが,細かいルールまでは知りません。
だから,細かい説明があってすごく分かりやすかったです。ありがとうございます。
今回の採点ミスは明らかに”人災”だと読みました。
織田選手や高橋選手のような選手をもう出さないよう,これからはこんなことが起きないようにしてもらいたいものですね。
織田選手には腐らず次を頑張ってと言いたいです。
それにしても日本のフィギュア界は素晴らしいですね。強化プログラムが功を奏しているのでしょうね。
話の腰を折るようで申し訳ないのですが…関連リンクの一つのリンク先が、私のブログになっちゃってるんで、変えて頂けると助かります。私のブログの情報ではないことなんで…。
でも、正直フィギュアスケートはルール詳しくなかったんで、非常に参考になりました。そういうことだったんですね。
織田選手も高橋選手も応援してますので、どちらにも、これをバネにして、美しい演技をしてもらえるよう、ただ祈るばかりです。ファンは待つことと祈ることしかできませんから…。
「人災」とコメントしていただいていますが、その言葉がぴったりですね。せめて今後こういうことが起きないようにください。今の連盟にはそれだけを望みます。
morinaさん失礼しました。早速修正しました。