ありがたいことですが、よほど抗議が多かったのでしょう、テレビ朝日の放送内容が昨日とは大幅に変わり、松岡修造の無駄なおしゃべりは最小限におさめて、選手の演技をより多く見せてくれました。昨日は触れませんでしたが、伊藤みどりさんの実況解説は非常に的確で、選手の邪魔にならない最小限のコメントで視聴者にわかりやすいポイントを解説していて、良かったんじゃないかと思います。BSデジタルのアイスダンスの放送では私が好きな樋口豊先生が解説されていたとのことでそちらは後日放送されるスカイパーフェクトTV!の方でぜひチェックします。
浅田真央スパーク!
スパーク!って表現がぴったりだと思うのですが、浅田真央選手、戦前予想では世界チャンピオンのスルツカヤ選手に勝つのは無理だろうと思っていましたが、見事やってくれました。とにかくスルツカヤ選手は先シーズンから絶好調で誰にも負けずに連勝街道を走ってきたわけで、それをとめるのは荒川静香選手かサーシャ・コーエン選手がよほど調子いいときでないと無理だろうと思っていましたから、ここで浅田選手が一矢を報いるとは驚きです。スルツカヤ選手が疲れからやや動きが重かったこともありますが、浅田選手の演技は素晴らしかった。2シーズンあたり前はトリプルアクセルもやや回転不足でこれは国際試合では認定されるかどうか微妙だなと思っていますが、ここ最近のトリプルアクセルの質の向上は目を見張るものがあり、ほとんど回転不足は気にならないクリーンなものが多くなってきました。しかもこの大舞台で成功させてしまうところが若き日の伊藤みどりさんを髣髴させます。両方の選手の山田コーチが「みどりは猿から人間に進化したときに悩んじゃった」と表現していたことがあるのですが、子供の頃、ただただ試合でジャンプを跳んで歓声を受けるのがうれしかったのがだんだんプレシャーを感じるようになってからが伊藤みどりさんは大変だったようです。浅田選手も今後はこの年齢にして世界中から追われる立場になりますが、揺れ動く青春時代を乗り越えながら、日本人を熱狂させていくんだろうなという予感を充分に感じさせてくれました。日本人だけでなくてもちろん伊藤みどりさん同様、世界のファンに愛される選手にすでになっていますね。
あどけない表情の裏にある、うれしくてエキサイトしても意地でも人前では泣かないぞといった負けず嫌いの面を今日も見せてくれた浅田選手。niftyのフィギュアスケート特集の山田コーチのインタビューを読むとそういう意外な面が描かれていておもしろいですよ(こちら)。興味のある方は一度チェックしてみてください。
チャンピオンの意地を見せたイリーナ・スルツカヤ選手
SPもそうでしたが、今日のフリープログラムも滑り出しからあきらかにスピードがなく重たかったスルツカヤ選手。これはジャンプの失敗があるのではと心配しながらみましたが、彼女の武器のひとつである3回転と3回転を組み合わせた難度の高いコンビネーションジャンプこそ抜いてきましたが、それでも5種類6回のトリプルジャンプを成功させるのはさすが。ジャンプ以外の要素でも最高難度のレベル4を4つ認定されるなどさすがなところを見せて、得点を稼ぎました。チャンピオンの意地と誇りにかけて今日のベストはつくしたのでしょう。表彰式では笑顔を一生懸命振りまいていましたが、くやしさは隠せなかったところに、オリンピックへ向けてさらにこの選手はハードな練習をしてくるだろうなと予感させました。
欲がでてきた中野友加里選手
この数週間で最も周囲を取り巻く環境が変わったのが中野ゆかり選手。今までも努力と才能が本番で発揮できればということは言われてきましたが、NHK杯の優勝そしてグランプリファイナルで表彰台に立ったことで、オリンピック代表争いではすでにダークホースではなく本命のうちのひとりにまでなったと思います。今回、ベストに近い演技ができたにもかかわらず、点数が思っていたほどでなかったことに不満を隠さなかった中野選手に、トリノへぜひ行きたいという欲がでてきたのだと思いました。これは選手としていいことだと思います。しかし、課題が多く残っているのも事実。以前と違い日本女子選手は欧米の選手に負けない長身でスタイルのいい選手が増えてきていて、小柄な中野選手は同じことをやっていても評価はどうしても下がってしまいます。より大きく表現するためにも、腕や足の曲がりがないようにもっとストレッチすることが必要でしょう。彼女の長年の課題である、ジャンプのときの足の形(巻き足)のまずさも、練習ではかなり修正していると聞きますが、今回の大会では成果が発揮できませんでした。これは一部のジャッジは容赦なく減点してきますのでできれば直したいところ。NHK杯のフリーでは一番醜かったトリプルループジャンプの巻き足がかなり改善されているところを披露できていたので、本番で練習どおりできるようになることを期待したいです。どんなに欲がでてきても今までどおりひとつひとつ課題をクリアしていく練習方法は変えてほしくないですね。日本のオリンピック代表争いは横一線、クリスマス決戦となる全日本選手権でひと波乱起きるとすればキーは中野選手になることは間違いないので注目です。
プレッシャーの中、安藤美姫選手
昨年まではのびのびと滑っていた安藤選手、周囲の期待が高まり、将来の進路も決まってきて、さらにプレッシャーがすごいんだろうなと、今日のがちがちの滑りを見て強く感じました。体もきっちり絞れていますし、表現もかなりよくなっていますから、トレーニングの方向性は間違ってないと思います。ただ、結果がでない。結果がでないと周囲から雑音がでてきやすくなるので、それを封印するためにも全日本でがんばってほしい。残り1週間、彼女の拠点であるアメリカへは日程的に戻れないと思います、コーチが日本にこのまま滞在できるのか、それとも離れ離れでトレーニングをどうするのかといったことも気になりますが、この1週間が彼女の人生を決める1週間になりますから悔いなくがんばってほしい。そう願うばかりです。
最後まで笑顔 エレーナ・ソコロワ選手
彼女もロシアからの長旅で本調子とは言えませんでしたが、演技中も笑顔を忘れずアピールするのはさすがだと思いました。今日のフリーではスルツカヤ選手がトライしなかった3回転3回転にも挑戦していました。結果的にここは転倒しましたが、そこできれてしまわずに、後半まであきらめなかった彼女の姿勢にスポーツマンシップを感じました。
不調 アリッサ・シズニー選手
GPS前半のアメリカ大会とカナダ大会に出場したシズニー選手はこのグランプリファイナルにもう一度仕上げてくるのは難しかったかもしれません。来月にはアメリカの選手にとってはどんな国際大会より大事な全米選手権があります。アメリカのオリンピック選考は日本の選考方法と違い、この全米選手権の一発選考。アメリカのトップ選手は全米選手権を重要視するあまり、ここ数年、グランプリシリーズを軽視し簡単に棄権してしまう傾向がある中、彼女はグランプリに出場してくれた。ぜひその結果がいいほうにでてほしいです。
選手のみなさんありがとう
本田美奈子さんのドキュメンタリーを見た後のせいか、今日は試合をテレビで見ながら涙腺が緩みっぱなし。男子の演技ですでに一度涙がぼろぼろとでましたし、チャンピオンの誇りを強く持っているスルツカヤ選手のスケーティングに涙。そして浅田選手の完璧な演技にまた涙。スタンディングオベーションを受ける浅田選手の姿が、今日、テレビ解説をしていた伊藤みどりさんの現役時代のカルガリーオリンピックや、世界チャンピオンになったパリでの世界選手権、そしてディフェンディングチャンピオンで臨みながら規定で失敗し10位からのスタートとなった翌年のハリファックスでの世界選手権、SP、フリーとほぼノーミスの演技で最終2位まで駆け上がったときの演技、すべてが観客からスタンディングオベーションをもらった演技ですが、それらに重なって、また涙。
いい試合をしてくれた選手、遠くから参加してくれた選手に感謝です。「ありがとう。」
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最近「音楽」が点数に加わった事がとても嬉しい。従来は音楽を無視してまったく音楽内容とは関係のないところでジャンプしてみたり,あるいは盛り上がる音楽を背景にひたすら回転への待機でじっと滑るだけであったり。その点では今回のクララ,いや,浅田は素晴らしかった。
音楽監督が指導に関わるべきだと以前から思っていた。芸術表現の優れた演奏家たちが。或いは指揮者なら尚良い。
以前から音に対してきっちり動きをあわせる演技している選手と、音楽をBGM的にしか使わない選手がいましたが、新採点方式では芸術点という大きなくくりではなく「コレオフラフィー」「インタープリテーション」など細かく分けて点数をつけるので、以前よりも厳しく音楽との一致性が求められるようになりました。
浅田選手の「くるみ割り人形」は振り付けはローリー・ニコルという有名な振り付け師がベーシックな部分を作っています。今はどんどん技術的なものを教えるコーチと振り付け師の分業化がどんどんすすんでますね。以前のようにコーチが曲の編集をして、振り付けもしてっていうようなパターンはよほどコーチに力がない場合は以外はプロの強力がなければ無理ですね・・・でますますお金のかかるスポーツになっていってるわけですが。
情報を有難うございました。
どんどんレベルアップして,10年先20年先には選手自身が音楽と一致をした振り付けで演技が出来る様になる事を望んでしまいます。
演奏家の立場なので,フィギュアスケートは「音楽を身体で表現する一手段」と思えてしまうのです…。勿論技術を磨く為に費やされる莫大な時間を思うと,音楽に深い造詣を・・・という事は望んではいけない事なのかもしれませんが,遠い将来,選手自身の振り付けで競われる日がやってくる事を望み,又,やってくるに違いない,と思ってしまいます。技術はもう最高レベルまで開発し尽くされつつある訳で(まだ無限にあるとしても)。
それが今後の世界の課題になれば最高だ!・・・とは高望みでしょうか・・・??