今週、スケート暦で新シーズンを迎えましたがISU総会でルール変更が承認され、その内容がISU Communicationsの1504と1505で発信されました[こちら/PDFファイル]。これまでも毎シーズン、ルールのマイナーチェンジが行われてきましたが、特にシングルでは今回が一番大きな変更のように感じました。
すでに4月末の段階でジャンプ&スピンの基礎点およびできばえ評価(GOE)の得点の変更や、スピン&ステップのレベル認定のための必須要素の変更が発表されていましたが(Communications 1494)、これでいよいよ今シーズンのルールが確定したことになります。すでにプログラム制作にとりかかっている選手も多いと思いますが、ここからルールとにらめっこしながら、少しでも多くの得点を稼げるようにプログラムのビルドアップに励むことになるのでしょう。
国際試合が次々と開催される時期が来るまでに少しずつ、シーズンオフですっかりスケートから離れてしまった心のリハビリも兼ねておいついていきたいと思います。
シングル・ペアの主なルール変更
大きく点数にかかわってきそうな変更点をまとめておきます。
シングル・ペアフリープログラムのエレメンツ数削減
新ルールになってプログラムがせわしくなったとの批判がありましたがアイスダンスに続いて今シーズンはシングル/ペアのエレメンツ数が減らされました。これで要素以外に充てる時間が多くなり振り付けなどでより個性を発揮できるようになるのではないでしょうか?
男女シングル フリープログラム【シニア】
スピン 最大4→最大3
男子シングル フリープログラム【ジュニア】
ステップシークエンス 最大2→最大1
女子シングル フリープログラム【ジュニア】
スパイラルスシークエンス 最大1→廃止
ペア フリープログラム【シニア/ジュニア】
新
ステップシークエンス/スパイラルシークエンスはシーズンによりどちらか1つのみ指定
08-09 ステップシークエンス
09-10 スパイラルシークエンス
10-11 ステップシークエンス
旧
ステップシークエンス 最大1 & スパイラルシークエンス 最大1
男子シングル【ジュニア】のSPで単独トリプルアクセル解禁
先シーズン、記憶にないぐらい久々でトリプルアクセルを跳ばない男子ジュニアチャンピオンが誕生したことが影響しての変更かもしれません。
男子シングル ショートプログラム【ジュニア】
ジャンプの必須要素 新
ダブルまたはトリプルのアクセルジャンプ
トリプルトリプルまたはトリプルダブルのコンビネーションジャンプ
ステップからのダブルまたはトリプルジャンプ(種類に指定あり)
ジャンプの必須要素 旧
ダブルアクセルジャンプ
トリプルトリプルまたはトリプルダブルのコンビネーションジャンプ
ステップからのダブルまたはトリプルジャンプ(種類に指定あり)
ジャンプシークエンスの定義変更
すべての種類のジャンプの着地後にすぐにアクセルジャンプを踏み切る組み合わせをジャンプシークエンスとして認める。
(これまでは間にトウステップやホップジャンプをはさまなければシークエンスとして認められなかった)
ロングエッジのフリップ/ルッツジャンプの減点方法の変更
先シーズンからロングエッジに対する減点が強化され特に女子シングルの選手が苦しみました。先シーズンは黒か白かの判定しかありませんでしたがグレーゾーンが設けらることになります。
「!」マークの新設
これまでどおり正しいエッジがまったく使われてない/間違ったエッジを使っている時間が長いフリップ/ルッツジャンプはコーラーが「e」を示し全ジャッジに減点を強制。
短い間だけ間違ったエッジを使っているフリップ/ルッツジャンプはコーラーが「!」をつけて減点するかどうかは各ジャッジが判断。
ペアフリープログラム【シニア】のリフト構成変更
せっかくアクセルツイストの基礎点を高くしたのにほとんど見られなかったわけですが、フリーでツイストリフトを最大2回まで行えることによりトライしてくるペアも出てくるかもしれません?個人的にもカルガリーオリンピックで見たのが最後だったりしますが。やってくるとしたらムホトラ&トランコフかな?
新
通常のリフト3&ツイストリフト1または通常のリフト2&ツイストリフト2(ただし違う種類に限る)
旧
通常のリフト3&ツイストリフト1
ペアフリープログラムのボーナスポイント追加
これまでソロジャンプとスロージャンプのみ後半の基礎点が1.1倍されていましたが、通常のリフトとツイストリフトも1.1倍されます。これでますます心置きなく前半にソロジャンプを固められますね。
ジャンプの基礎点/GOEの配点の変更
(高難度ジャンプのハイリスクハイリターン化)
すでに報道のとおりトリプルアクセルおよび四回転ジャンプの基礎点が引き上げられます。できばえを評価するGOEについては7段階評価のうちマイナスの3つが変更され減点が大きくなります。一部には浅田真央選手を標的にしたルール変更などという報道もありましたが、私はむしろ浅田選手にとっては成功させれば高得点が稼げますのでライバル選手にとってプレッシャーになりますし、これまでの何がなんでもトリプルアクセルという方針ではなく調子が悪ければ積極的にはずす決心もつくでしょうから戦いやすくなるのでは?と楽観視しています。
ただしスロージャンプについては基礎点の引き上げは行われず、GOEのマイナス幅だけ大きくなりました。ペアに関しては井上/ボールドウィン組が標的になったかなと思います。
例
トリプルアクセル
新
基礎点8.20
GOE(3>2>1>0>-1.4>-2.8>-4.2)
旧
基礎点7.50
GOE(3>2>1>0>-1>-2>-3.0)
4回転トウループ
新
基礎点9.80
GOE(3>2>1>0>-1.6>-3.2>-4.8)
旧
基礎点9.00
GOE(3>2>1>0>-1>-2>-3.0)
スピンの基礎点/レベル認定要素の変更
これまでレイバックスピン以外はアップライト/シット/キャメルにポジションの違いによる基礎点の差はありませんでしたが、ジャンプスピンとワンポジションのスピンについて若干ではありますがレイバック=キャメル>シット>アップライトと基礎点に差がつけられました。
スピンの要素が減らされてしまったのでスピンが得意な選手は少しでもポイントを稼ぐために、特に男子であまり見られなかったキャメルスピンを実施する選手が増えてくれるとうれしいです。ジュニアから上がりたての選手は昨シーズンのSPの課題で徹底的にキャメルを練習してきてるので、例えばアダム・リッポン選手の美しいキャメルは引き続き見られるのではないでしょうか。
主なレベル認定要素変更
スピン
チェンジエッジは片足のみ有効
新ルールになってスピンでレベルを上げるためにチェンジエッジが多く見られるようになりました。これまで足換えスピンやコンビネーションスピンではそれぞれの右左両足でチェンジエッジを行えばレベルを上げる要素に2つ数えることができましたが、今シーズンからはどちらか1つのみ数えることになります。
スパイラルシークエンス
チェンジエッジの判定を厳格化
スパイラルでチェンジを行う際、チェンジを苦手としてる選手はカーブとカーブの間にフラットでまっすぐ滑る距離が長くなる傾向が見られましたが、今シーズンからはまっすぐ滑る距離が「1メートル以内」でなければレベルアップ要素には数えないという制限がつきました。
時間でなく距離で判定するということで、速いスピードでスパイラルを実施する選手は気をつけなくてはなりません。今シーズンは3秒ルール以上にこのルール変更でレベルアップできない選手が続出しそうです。また正確なチェンジエッジを意識してバランスを崩す選手もでてきそうです。
6秒スパイラル
これまでどおり、ひとつのスパイラルは3秒以上維持することが求められますが、6秒以上維持するスパイラルが含まれている場合はレベルアップ要素のひとつになります。
加点強化の徹底
ISU Communications1505でできばえを評価するGOEの特に加点に関するガイドラインが整理されています。またGOEに関してまず加点評価を決定してからそこからマイナス要素があれば減点するようにと定めています。
とかくフィギュアスケートのジャッジはSPの採点で減点方式に慣れているために加点べたと言われていますが、先シーズン辺りから積極的に加点するようになり、それが高橋選手の世界新記録樹立の一因にもなったわけですが、今シーズンはさらに積極的に加点が行われる模様。
スピンの数が減らされた分を高難度ジャンプの基礎点アップではカバーしきれていないので、ほとんどの選手はパーソナルベストの更新が厳しくなるのでは?と当初は心配しましたが、加点の強化で上位選手はむしろ得点が伸びるのでは?と現段階では個人的に予想しています。一段とエレメンツの質が問われることになりそうです。
アイスダンスの主なルール変更
アイスダンスはルールが細かいのですべてを把握することはあきらめていますが、目に見えてわかる部分だけ整理しておきます。
ルール変更の内容を見ると「サーカスのような」と評された某カップルを想定した変更かなと思われ節がないわけではないですが、本来のアイスダンスのあるべき姿への回帰が目的なら個人的には歓迎。さらに欲を言えばシンクロナイズドツイズルやホールドしないステップシークエンスが廃止されるのが理想ですが…。(以下の変更内容はすべて【シニア】基準)
ODのエレメンツの変更
リフト
新
ショートリフト 2
(最初に実施するもののみTESで評価し2つ目のリフトは5コンポーネンツ内のCHに反映する)
旧
ショートリフト 2(両方ともTESで評価)
スピン
スピンコンビネーションは禁止
ミッドラインステップとシンクロナイズドツイズルの切り離し
従来ミッドラインステップ内でシンクロナイズドツイズルを実施することが必須でしたが、ミッドラインステップでのシンクロナイズドツイズルは廃止になり、ステップ以外の場所でシンクロナイズドツイズルを1度実施することが必須となりました。
フリーダンスのエレメンツ変更
リフト
新
最大リフト数 4(ただしロングリフトは1つまで)
5度目のリフトを実施した場合はCHで評価 6度目は減点
旧
リフト数 4(ただしロングリフトは2つまで)
スピン
スピンコンビネーション 1
2度目のスピン(スピンコンビネーションも可)を実施した場合はCHで評価 3度目は減点
選択できるステップシークエンスの変更
フリーダンスでのステップシークエンスはすべて二人がホールドすることが必須となりセパレイトして滑るホールドの無いミッドラインステップは選択できなくなります。
コンパルソリーダンスの課題
将来的には廃止の噂も囁かれているコンパルソリーダンスですが、今シーズンは新しいフィンステップが加わります(原案はフィンランドのラハカモ&コッコが滑ったOD)。ただしグランプリシリーズはフィンステップ以外からの抽選となります。
【シニア】ウィニーズワルツ/フィンステップ/パソ・ドブレから各大会1課題
【ジュニア】スターライトワルツ/パソ・ドブレから各大会1課題
四大陸選手権とヨーロッパ選手権の課題はグランプリファイナルで抽選し発表されます。世界ジュニアの課題は四大陸選手権で抽選し発表されます。世界選手権の課題は世界ジュニアで四大陸選手権/ヨーロッパ選手権で使用されなかったものから抽選し発表されます。
バンクーバーオリンピックを含む来シーズンは(ゴールデンワルツ/タンゴロマンチカ)から各大会1課題となります。
オリジナルダンステーマ
先シーズン大好評だった民族音楽はオリンピックシーズンに再利用して使われます。今シーズンは1920年代から1940年代というまたまた大きな範囲をさすテーマ。イメージとしてはアメリカの禁酒時代に流行した音楽を想定しているものと思われます。
具体的にはルイ・アームストロングに代表されるシカゴジャズ、ビッグバンドによるスイングジャズ、ボーカルの使用が許されていますのでビリー・ホリデイに代表されるようなブルースナンバー、また映画のサントラなら「ゴッドファーザー」や「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」といったところになるでしょうか?以前よく使われた「コントンクラブ」や「タッカー」のサントラもリバイバルして流行しそうです。
よろしければ人気ブログ投票おねがいします(こちら)
@niftySports@niftyフィギュアスケート特集ドリームオンアイス2008レポート(1) 村主章枝・積み上げてきたもの
@niftySports@niftyフィギュアスケート特集ドリームオンアイス2008レポート(2) 小塚崇彦・少年と青年のはざまで
@niftySports@niftyフィギュアスケート特集ドリームオンアイス2008レポート(3) 安藤美姫・5年ごしの思い
【フィギュアスケート(バンクーバー五輪へ向けて)の最新記事】




http://miki-ando-and-fans.seesaa.net/
以外には日本語で大枠を読むことのできる場所がほとんどありませんので。
おおむね、好ましい方向への変更と感じられますが、毎年対応を迫られる関係者、特に指導者のご苦労はたいへんなものがあると思います。選手も大変だろうけれども、毎年ちゃんと対応してくるのはすごいの一語に尽きます。
いくつか注目している(気になっている)のは以下のような点。
・女子のスパイラルの変更。レベル4は出にくくなるのかな?6秒スパイラルってどんな風になるのかな?など。
・eマークと!マークの適用(範囲)。どの程度だとどっちになるのか、大会ごとに異なるのはやむを得ないにせよ、ひとつの大会内での評価のブレはないことを願います。
・>フリーダンスでのステップシークエンスはすべて二人がホールドすることが必須となりセパレイトして滑るホールドの無いミッドラインステップは選択できなくなります。
今と昔のアイスダンスを見比べてもっとも印象が異なる点ですが、多少以前の競技の印象に近づくのでしょうか?ミッドライン以外のステップって現在でもホールドして行なってましたっけ…。
ところで、今年の全日本選手権は長野市・ビッグハットで5年ぶりの開催となります。12月25日から27日、木曜日から土曜日という日程ですので、関西からは足回りがいいとはいえない長野ですが、ご都合をつけてお越しいただけることを楽しみにしています。
「!」…黄色信号って感じでしょうか?またまた物議をかもし出しそうな怪しいマークですね(苦笑)。
誰にとって得かは、そう簡単に判断できるものでもなくて、例年始まってみないとわからないことが多いですよね。
男女シングルのスピンが、1つ減ると言うことは、プログラムの持ち越しが難しくなりますね(他のブログ書かれていて気づいたんですが・汗)。トップ選手の密度の濃いプログラムは特に。
ぱっと思い付くランビエール選手、ワールド直後のインタビューで、競技プログラムの「ポエタ」にまだ心残りのようでしたが、そうもいかなくなってくるのか。
安藤選手もカルメンを続行してもよさそうですが…でも、モロゾフコーチが器用に直してしまいそうな予感もしますね。
ペアがステップかスパイラルのどちらか一つ、というのは歓迎です。ここ数年ペア本来のダイナミックさ減ってしまって、言い方は悪いですが、アイスダンスの下位グループのような印象に終わってしまうプログラムが多いと感じていたので。ジャンジャン組のように、ステップが致命的な選手にとっては、ほぼ間違いなく(笑)朗報なのではないでしょうか。
人から教えて頂きましたが、ご存知かもしれません。
BiZNEXTに高橋選手のインタビューが掲載されています。
web上で立ち読みができます。
http://www.biznext.jp/
当たり前のことですが、ルールを熟知しなければならないけれど、最終的にはこういうことなんですよね。相変わらず冷静な高橋選手でした。
こんばんは!
毎シーズン、毎シーズン変更があるのは対応するのが本当に大変ですね。バンクーバー五輪後は新採点も落ち着いてきていることですし、オリンピック開催ごとの4年に1度とか、せめてその中間点を含めた2年に1度ぐらいの変更になるといいなと期待しています。
アイスダンスのフリーダンス、先シーズンでもペシャラ/ブルザのように2つともホールドするステップを選んでいたカップルもいたのですが、私が好きだったカー姉弟やファイエラ&スカリ、リード姉弟はホールドなしのミッドラインをやってたりと分かれていたんですよね(なぜか記憶に残ってたのがこの4組でした)。サーキュラーまたはサーペンタインの選択ではどちらを選んでもホールをして行わなければなりませんでした(もちろんポジションの組み換えなどで二人が離れる瞬間もありますが)。
前回長野で開催された全日本は雪の中、行きましたよ…若かった(爆)。ここのところ恒例のチケット争奪戦からして加わる体力があるかどうか。シーズンが始まって燃えるものがでてくるかどうかによるでしょうね。
ニルギリさん
こんばんは!
確かに要素がぼこっと1個減りますので、昨シーズンのままとはいかず、持ち越しするにも手直しが必要なのでメリットが小さくなっちゃいますよね。
ライサチェック選手などもワールド出られなかったのであのトスカを持ち越ししたかったりするのではないでしょうか?…と思ってたらタラソワプロなんですよね。これもびっくり。
高橋選手、いろいろな媒体で紹介されていますね。彼の活躍ぶりはこれまで男子フィギュアスケートを知らなかった人達の心も動かしたんでしょう。新シーズンの活躍も楽しみです。
まだまだ課題があり、延びる可能性が大いにある中で、高得点を叩きだす浅田選手はやっぱり驚異ですね。楽しみです。
こんばんは!
テレビでタラソワコーチと浅田選手がトレーニングしている様子を見ましたが、タラソワコーチが満足げな表情をしていたのでシーズン開幕へ向けて調整は順調なようですね。トリプルサルコウもきっちり降りていて、ジャンプの構成はさらに高得点が狙えそうです。
スピンやスパイラル、全てでレベル4をとる必要はないとは思いますが、狙ったレベルは必ずとれるようにしてほしいですね。レベル2や3のスピンでも見栄えが良くて音楽の曲想にあっていればそれはそれで素敵なので。
近年はどの種目も連覇するのが難しくなっていますが、特に女子は毎シーズンごとに女王が交代する混戦、浅田選手にはぜに2連覇、3連覇と勝ち続けてほしいですね。